Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地母神デメテル 27

 
 『お前はお姉ちゃんを守れなかった・・・。』
うん、守れなかった・・・。
 『その時からお前は一人ぼっちだったのかい?』
ああ、そうか、その時から一人だったんだ。
 『それで、お前はこれからどこへ行くつもりなんだい?』
・・・わからない、姉ちゃんがいないなら、今は逃げないと・・・。
 『逃げるって何から?』
おばさんには聞こえない? あの光る眼が見えない?
後ろをぴったりと大きな獣がやってきてる。
 『見えないねぇ? 本当にそれはいるのかい?』
ホントだよ、今までも時々、あのきんいろの目に見つめられていた気がする。
 『・・・そうかい、それはずっと昔からなのかい?』
そうかもしれない・・・だんだん近くに寄ってきている・・・。
もうじき、僕は食べられるのかもしれない・・・。
 『でもタケル?』
うん? なに?
 『何故そいつは一気にお前に襲いかからないのだろうねぇ?』
えっ? わからない・・・どうしてだろう?
 『そいつはお前を一飲みにできそうな程、凶暴で恐ろしいのじゃないのかい?』
うん、そうだと・・・思う。
 『思う? わからないのかい? それじゃあ、お前の後ろにいるモノは、
 お前が考えているようなモノじゃないのかもしれないかねぇ?』
じゃあ、何がやってきてるの?
 『さぁてねぇ、でも何かを待ってるのか・・・
 それとも、お前を見守っているのかもしれないよ?』
僕を見守ってる? そんな人はいないよ。
・・・もういないんだ・・・。
 『いいや、タケル、お前は一人じゃないさ・・・。』
え?
 『お前が自分で、自分は一人だと思い込んでいるだけさ・・・。』
そんなことはないと・・・思う・・・。
 『タケル、どうしてお前のお姉さんはあんなに強かったと思う?』
ええっ? そ、それは分からないよ・・・僕とは違う・・・。
 『そうだね、お前と違う物が一つある・・・。』
なんだい、それは?
 『それはね、・・・自分に守るものがあるかどうか・・・。
 お前のお姉ちゃんは、お前を守るために強くなったのさ。』