Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地母神デメテル 30

 
 タケル・・・タケル タケルッ!!

明るい・・・いや、まわりに星が飛んでいる・・・。
あ、オレ・・・
 「う、う~ん・・・。」

 「眼ぇ、覚ましやがった!」
 「おい、しっかりしろ、タケル!」
 「大丈夫か!? いったいどうしたっ!?」
え、えーと、そんなにいっぱい耳元でがなりたてなくなって・・・。

タケルはゆっくりと目を開けた・・・。
サルペドンや、ミィナ、マリアさんや大勢の仲間が、心配そうに彼の顔を覗き込んでいる。
別に、タケルは意識こそまだはっきりとはしてないものの、
痛みや苦痛がある訳ではないので、
なんかこの状況が、なんとなく嬉しい。
なんかみんなにちやほやされてるみたいだ。
そういえば、なんで意識を失っていたんだっけ?
 「えーっと、みんな・・・あ、オレ意識失ってたのか?
 ど、どれぐらい、気絶してた? 2、30分!?」

すると、ほっと胸をなで下ろしたミィナが、自分の中指でタケルの額をデコピンする。
 「あいてっ!」
 「ばーか、ほんの1、2分だよ、でもな、あんま心配させんじゃねーぞっ!
 ちょっと、そのまま休んでろっ!」
まぁこいつが口が悪いのは今に始まったことじゃないが、
根が悪い奴じゃないのは知っている。
それにこの居心地の良さが、気分をそんなに悪く・・・
ん?
この柔らかさと温かさは・・・!?

タケルは我に返って、今自分がいる状況を正確に認識し始めた。
オレ・・・今、誰かに抱きしめられている・・・?
ま さ か ?
そおっ首を振り向くと、そこには微笑を浮かべたデメテル・・・。
 「わぁっ!?」
 「何をそんなにびくついておる?」
 「えっ、いや、だって目を覚ましたてで、いきなりそんな・・・あれ?」
 「なんじゃ? どうした?」
タケルは彼女の抱擁を拒絶することをも忘れて、ある一つの疑問を生じさせた・・・。
 「あの・・・デメテルさん、いま、オレの・・・あ、そんなわけないか、
 夢を・・・夢に誰か出てきたような気がして・・・。」