Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地母神デメテル 31

 
どうも、タケルが変な夢を見たのは、
この「地母神・・・母なるダー」とも呼ばれたデメテルに、
抱き続けられていた影響が大きかったのかもしれない。
実際、
タケルが心に受けた傷は、とても大きいものだけれども、
滅多なことで精神に失調を及ぼす物でもない筈だ。
むしろ今、夢を見た事により、メンタル面へのダメージを発散できたのだろう。
気を失う前に何があったのか、忘れたわけではないが、
多少、心はすっきりしている・・・。
 「なんじゃ? わらわに夢の中で出会ってしまったのか?
 困ったものじゃな?
 夢の中でわらわに、口に出せないような恥ずかしいマネをさせたりしたのではないか?」
ええっ!?
 「違います、違います、何もしてません!」
急いでカラダを起こすタケル。
うん、大丈夫だ・・・ちゃんと立てる。
デメテルは優しくタケルのカラダに手を触れながら、
彼に気遣いの言葉も向ける。
 「無理をするでないぞ?
 向こうに休息できるスペースを作っておいた。
 しばし、カラダを休めておくがよい・・・。
 その後で、そなたに少し用もあるしな・・・。」
最後の言葉が気になったが、タケルは村の人間に付き添われて、広い天幕の中に案内された。
もう大丈夫だと思うが、せっかくだから休んでいよう。
あっちはサルペドンがいれば大丈夫だろうし・・・。

タケルを見送ると、黒衣のデメテルは、再びテーブルについて、
宴席を続けるかと思いきや、
ここで彼女は視線をサルペドンに向けた。
 「・・・さて、サルペドンよ。」
 「はい・・・?」
 「少し、わらわも今の騒ぎには驚いたが、実はそなたにもやってもらいたい事があってな?」
 「私に・・・ですか?」
 「うむ、・・・まぁ、用があるのはわらわではない・・・。
 あっちにわらわの寝所がある。
 そこでそなたを待っている者がおる。 」
 「わ、私に? し、しかし、この宴席は・・・?」
 「なに? そこな美しい姫君は多少、言葉がわかるのであろう?
 なら、彼女にこの場をまかせ、そなたはそなたの務めを果たすがよかろう。」