守護女神アテナ 2
その女神アテナは100歳を超える筈だが、
未だ肌には艶があり、デメテル同様、地上の人間に相当させれば30代ぐらいにしか見えないだろう。
滑らかな細腕には、アフリカ部族を思わせるような何種類かの腕輪をはめている。
胸には装飾性を帯びた象牙細工を垂らしていて、
その白い肌とはアンバランスさも覚えるところだ。
サルペドンはゆっくりと・・・初めて自らの意志でサングラスを取る。
彼女の前では全てを晒す、
それが自分の義務だとでも言うように・・・。
そして二人は、
どちらが先とも言う事もなく、互いに駆け寄りその腕を掴み合う・・・。
ただ、二人がそれ以上接近することもない。
それ以上抱きあおうともしない。
互いに、それぞれのカラダの前に壁でも作るかのようだ。
サルペドンの表情に温かみが射す。
「・・・これだけの時がたってもキミは美しいままなのだね・・・。」
アテナは笑おうともしない。
だが、青いその瞳の動きが、彼女の思いを告げるかのようだ。
彼女の前では全てを晒す、
それが自分の義務だとでも言うように・・・。
そして二人は、
どちらが先とも言う事もなく、互いに駆け寄りその腕を掴み合う・・・。
ただ、二人がそれ以上接近することもない。
それ以上抱きあおうともしない。
互いに、それぞれのカラダの前に壁でも作るかのようだ。
サルペドンの表情に温かみが射す。
「・・・これだけの時がたってもキミは美しいままなのだね・・・。」
アテナは笑おうともしない。
だが、青いその瞳の動きが、彼女の思いを告げるかのようだ。
「数千もの言葉を並べたところで、私の思いはあなたには届かないのでしょうね、
いったい、どんな思いで100年以上も地上の人間たちと行動を共にしてきたというの?
そして、今さら、この地底世界によくもおめおめと戻ってこれたものだわ。」
サルペドンはゆっくりと首を振る。
「君やデメテルを前に、如何なる言い訳をしようとも思わない。
目的を達した後なら、君にこの首を捧げても構わない。
今は、君がこうして元気でいられた事が確かめられた・・・。
それだけで私の心は歓喜に震えている・・・。」
「やめて。
軽々しくそんな事を言わないで。
あなたがたがデュオニュソスを殺したと聞いた時には、
私自身の手であなたの命を奪う事も考えたのよ?
その時の私の心を、あなたに思い到ることはできたのかしら?」
サルペドンの指と唇に力が入る。
アテナは、青い・・・その梟のような視線で、サルペドンを突き刺したまま。
サルペドンの苦しむ様を見届けるつもりなのだろうか。
しばらくして、アテナは再び口を開く。
「あなたがここを離れてすぐに、ヘファイストスは死んだわ・・・。
ゼウスの拷問に耐えられるほど、彼のカラダは強くなかった・・・。」
「私が・・・
いや、オレがその責め苦を受けるべきだったのにな・・・。」
そこには、スサで最高の権威を保つ男の姿はない・・・。
後悔、絶望、挫折・・・そんな重い過去を背負った、悩み多き一人の人間がそこにいた・・・。
いったい、どんな思いで100年以上も地上の人間たちと行動を共にしてきたというの?
そして、今さら、この地底世界によくもおめおめと戻ってこれたものだわ。」
サルペドンはゆっくりと首を振る。
「君やデメテルを前に、如何なる言い訳をしようとも思わない。
目的を達した後なら、君にこの首を捧げても構わない。
今は、君がこうして元気でいられた事が確かめられた・・・。
それだけで私の心は歓喜に震えている・・・。」
「やめて。
軽々しくそんな事を言わないで。
あなたがたがデュオニュソスを殺したと聞いた時には、
私自身の手であなたの命を奪う事も考えたのよ?
その時の私の心を、あなたに思い到ることはできたのかしら?」
サルペドンの指と唇に力が入る。
アテナは、青い・・・その梟のような視線で、サルペドンを突き刺したまま。
サルペドンの苦しむ様を見届けるつもりなのだろうか。
しばらくして、アテナは再び口を開く。
「あなたがここを離れてすぐに、ヘファイストスは死んだわ・・・。
ゼウスの拷問に耐えられるほど、彼のカラダは強くなかった・・・。」
「私が・・・
いや、オレがその責め苦を受けるべきだったのにな・・・。」
そこには、スサで最高の権威を保つ男の姿はない・・・。
後悔、絶望、挫折・・・そんな重い過去を背負った、悩み多き一人の人間がそこにいた・・・。