Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

守護女神アテナ 1

 
大地を統治せしポセイドン・・・
ギリシア神話の中に於いて、最高神ゼウスの次に名を連ねる者・・・。
本来、この地上全てを統べる資格を持ちながら、
天空神の姦計に敗れ海原の神に貶められた・・・。
100年以上もの昔、
この地底世界ピュロスに置いても、神話の世界をなぞるように、
彼らは運命の波に弄ばれていた・・・。

ゼウスも・・・ポセイドンも・・・アテナも、そしてデメテルも・・・。
ポセイドンは遥かな昔、ゼウスの地上侵攻に異を唱え、
ヘファイストス、アテナ・デメテルと共に反旗を翻した。
冥府の王ハデスの額に消える事のない傷をつけながらも、
ゼウスの雷の矢を受け、大怪我を負う。
右目が潰れたのはその時だ・・・。
そして、戦いに敗れた彼は地上に逃れ、
来るべきゼウスの地上侵攻に備え、自らの身分と出自を隠して対処しようとしていたのである。
彼が緒沢家の曽祖父に近づき、
スサと言う組織を作った背景には、そんな訳があったのだ。

ただその時、
結果として、ゼウス陣営にも多大なる被害が生じた。
しかも大地の恵みを司るデメテルが、
ピュロスの食糧生産を一気にストップさせたが為に、しばらくの間、
ゼウスは地上侵攻を断念せざるを得なかった。
勿論、これまでの地上の文明・・・破壊兵器の存在・発達があった為、
ゼウス達も迂闊に行動を起こせずにいたのである。
それゆえゼウス自身、地上に繰り出す事はとうに諦めかけていたのだが、
騎士団による世界秩序の崩壊が転機となってしまったのだ。

そして、地上に逃れたサルペドンが、常々自らの心に課していた戒めは、
「・・・自分はこの世界のアウトサイダーに過ぎない・・・」
という、孤独で・・・それでいて岩のように堅固なる信念・・・。
サルペドンが常に冷静で、
騎士団との時も、まるで部外者のように戦いを見守っていたのはそのため・・・。
美香が亡くなった時、スサを我が物にしようとすらせず、
タケルに全てを受け継がせようとしていたのは、
全て、そんな事情があったからなのだ。

そして今、神話上で兄妹とされるほどの関係を持った二人の神が、
このデメテルのテメノスで再会したのである・・・。