Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

守護女神アテナ 3

 
アテナがカラダを離そうとする意志を見せると、
サルペドンもカラダをゆっくりと引く。
彼女は一度、その場を噛みしめるように円を描いて歩きはじめた。
特に意味はない。
互いを向き合う必要もないと感じたのだろうか。
 「ポセイドン、覚えてる?
 年の近かった私たちは、よくデュオニュソスの村で、朝まで飲み明かしたわよね?」
 「・・・覚えているさ、
 デメテルや、ヘファイストスと一緒にな・・・。
 デメテルとは今も親交を続けているようだな。」
 「ええ、私の一番の友人・・・。
 彼女に何かあったら、私は絶対にそいつを許さない・・・。
 あら? 何がおかしいの?」
 「いや、可笑しいのではない。
 お前たち二人の仲をうらやましく感じただけさ・・・。
 今度も、デメテルは私がスサの仲間に正体を隠している事を察すると、
 何も言わずに、私の立場を思いやってくれた。
 それこそ、オレに対して言いたい事は山ほどあったろうに・・・。」

 「ええ、デメテルは強い人・・・、
 そしてとても優しい・・・。
 私の一番大事な人よ・・・。」
 「世界が変わっても、数千の月日が流れても、
 この遥かなる故郷に変わらぬ物がある・・・何と尊い事だろうか・・・。
 この100年にわたる孤独の放浪も報われた気がするよ・・・。」
 「放浪ですって? そのスサとやらの人間どもの集団内でいい気になっていたのでは?」
 「気の休まる暇などないさ・・・。
 私の能力は仲間のいる戦いには一切使えない・・・。
 地底世界の者が持つ長寿を、彼らに悟られてはならない。
 スサが代替わりした時には、しばらく身を潜め、
 まるで父親から息子に世代交代したかのように、自らの登場を演出せねばならなかった。
 自分に鎖を巻きながら、やれるだけの事をしなければならないのだ。
 仲間はいるが・・・全てを晒せる者など・・・。」
 「・・・そして、今また、決着をつけにきたと言うのね・・・?
 この地底世界全てを巻き込んで・・・。」