Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

守護女神アテナ 8

 
男女見境なく、ふざけて抱きついてきたデメテルの今までの抱擁とは、
明らかに様子が違う。
一体、この女性は何者なのか?
・・・だがすぐにタケルの疑問は解き明かされる。
体を離したデメテルは、その彼女を上座に立たせ、
タケルや、宴席の一同に彼女を紹介した。
 「紹介しよう、
 わらわの旧き友・・・戦の女神、パラス・アテナじゃ・・・。
 本来、お前たちスサからこの村を守るために、やって来てくれたのじゃが、
 もう警戒は不要と判断して、お前たちの前に引き合す。
 タケルよ、彼女の前に立つがよい。」
ええっ!?
勿論、神話の世界に疎いタケルとはいえ、
戦の女神アテナの名前くらいは聞いたことがある。
それに確か・・・今までの話では、このオリオン神群の世界で、100年以上前に、
デメテルと共にゼウスに反抗したとか・・・?
戸惑いながらタケルがアテナの前に立つと、
彼女は無言で右手を伸ばしてきた。
その表情は静かに笑みを浮かべているようでもあり、
じっとタケルを観察しているようでもある。

タケルにその腕を拒む選択肢などありはしない。
一方、アテナに至っても、初対面のカラダの大きなタケルを前にして、
怯える様子や気遅れなどは全く感じられない。
まさにその風格は女王のものである。
握手に応じたタケルは、その小さな手のひらに力強い意志を感じた。
細く白い指に・・・。
すぐにタケルは一つの衝動に駆られる・・・。
このまま膝をついて、頭を垂れるべきなのかと・・・、
その二つの梟の眼に見下ろされるのが、自分が取るべき態度なのではないのかと・・・。

辛うじてタケルがその誘惑に耐えると、後ろでサルペドンが説明を加えた。
 「タケル、お前が休んでる間、
 私が、彼女の尋問を受けていた。
 一応、我々の出自と、この地底世界にやってきた経緯は説明してある。
 デュオニュソスの事もな・・・。
 特に、タケル、
 お前が地上のポセイドンの血を受け継ぐ者と、説明してからは、
 お前に興味を持たれてな、
 ちょうど、お前が起きて来てくれたのでいいタイミングだったようだな。」