Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

守護女神アテナ 11

 
そこで話が長くなるのを察知して、
マリアが「皆さん、お座りになったらいかがでしょう?」と問うと、
デメテルが忘れものに気づいたかのように、笑い声をあげた。
 「そうそう、よく考えたらゆっくりしている場合でもないのじゃ、
 タケルよ、体調は回復しておるのか?」
 「え? あ、ああ、もうバッチリ!」
 「ほほほ、そうか、ではアテナよ、そなたはどうじゃ?」
 「ふふふ、デメテル、私はいつでも構わないわよ・・・?」
一体何が始まるのか?
なんとなく話の流れで、自分に関係がありそうな気もして、再びタケルは緊張を始める。
そしてタケルは見逃さなかった、
デメテルとアテナ・・・そしてサルペドンの間で、一瞬視線が交錯した事も。

するとアテナはもう一度、タケルに向き合い、静かに微笑みかけた。
 「タケルよ、お願いがあるのですが、少し私につきあっていただけますか?」
凄い丁寧な物言いだが、その瞳は一切の拒絶を却下させる。
 「あ? え、と? はい、何を?」
すると、デメテルが例のイケメンお付き軍団を呼び寄せ、彼女を再び輿に乗せる。
 「タケル、これより広場に移動する。
 アテナの後ろについてゆくがよい。
 ・・・それと、サルペドンよ、
 そなたは少しここに残れ・・・。」
全員、訳も分からずデメテルの言葉に従う。
サルペドンも途中までは状況を把握していたはずだが、
最後のデメテルの言葉に違和感を持ったようだ。
彼はデメテルの近くまで行くと、
もう、近くに誰もいなくなったのを確かめてからデメテルに質問をした。
 「何だ? この後の話はアテナから聞いているが?」
 「100年ぶりの逢瀬は愉しめたのか?」
サルペドンは呆れたように首を振る。
 「・・・お前がここにいるのに、このオレがそんな恥知らずなマネ、できると思うのか!?」 
 「なんじゃ、わらわに遠慮することなどないのに、
 相変わらず女心の読めない奴め・・・。」
 「相変わらずなのはお前だ・・・。
 だがお前は本当にいい女だよ、デメテル・・・。
 それより、今、そんな話をするために私を呼び寄せたのか?
 これからタケルに大事な・・・。」
 「いや、今がよかろう、
 ポセイドンよ、この村の先には草木も生えない『嘆きの谷』という場所があるのじゃが・・・、
 そこにお前たち地上の人間を待ち伏せしようと、
 アレスの小僧が大勢の軍隊を率いて待ち構えておる。」