Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死の神タナトスと、解き放たれた「魔」22

 
 「・・・私は死を司るタナトスだぞ!
 貴様が何者であろうと、その命を喰らい尽してやる!!」

タナトスはその右腕を前方に突き出した!
だが、その手に集まるエネルギーは先ほどの物と違う。
「男」の未知の脅威を警戒したために、
タナトスは次なる能力を使う。
それは自らが吸い取った生命エネルギーを、圧縮させ前方の敵に向かって撃ち出す能力だ!
短い高周波数音が聞こえたかと思うと、
そのタナトスの拡がる掌には無数の光る白い塊が・・・!
そしてあっという間に「男」に向って何本もの光が発射される!!
だが、

「男」はまるで、蠅でも払うかのように、
ほとんど姿勢を変えず、右の肘から先の動きだけで、全てのエネルギー弾を弾いてゆく。
まるで・・・自分の力を確かめているかのように・・・。
 器が違い過ぎる・・・。
この地底世界を全て覆い尽すような精神波動を感じた時から、予測できなかったわけではない。
自分より、
いや、自分の知る他のオリオン神群ですら、束になっても勝ち目はないだろう。
だが、だからこそ、この忌まわしい形相を浮かべた男はここで倒さねばならない。
先程から「男」の行動は、
キョロキョロ周りを見回すか、自分の身を守ろうとしているだけだ。
ならばまだ、勝機はある!
 「いっけぇぇぇっ!!」
今度こそ「男」の命を吸い尽すべく、
タナトスは今一度、白いガスを発生させた。
たちまち、そのガスはタケルを取り囲み、容赦なく彼の生命エネルギーを吸い始める!
・・・そして今度は距離が近すぎる!
白い気体は直接、「男」とタナトスを繋ぎ、
さながら「オンライン」状態で、「男」の生命力を吸い上げ始めた!
痛みも苦しみも・・・身の危険すら感じないのか、
「男」は命を吸われると言う行為に、防御どころか全く反撃するそぶりも見せない。
ただ、興味深そうに、自分の力が流れてゆくのを見ているだけだ。
一方タナトスのカラダには、恐ろしいまでの生命エネルギーが注ぎ込まれてゆく。
 「な・・・なんと膨大なパワーだ・・・!
 い、いったい、今までこの男のどこにこれだけのパワーが隠されていたのか!?
 だが、どんな化け物とて、生命力を抜き続けられれば・・・うぷっ!?」
突然、タナトスは吐き気をもよおした。
限界だ・・・。
100年以上、オリオン神群の「死の神」として君臨していたタナトスにも未体験の現象が起きる。
・・・彼の許容量を上回るエネルギーを吸いこんでしまったのだ。