Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死の神タナトスと、解き放たれた「魔」23

 
胃液の逆流に耐えきれず、タナトスはうずくまるよりも早く、
胃の中の物を地面に吐き出してしまう。
限界以上に摂取した物は、食物ではなく生命エネルギーなのだが、
タナトスのカラダは、代償反応として嘔吐と脱水症状を起こしたのである。
彼の皮膚からは大量の発汗と、そして生き場を失った生命エネルギーが、
白いもやのまま、タナトスのカラダの周りを取り囲んでいる。
・・・もう、彼の攻撃全てが通じない。
恐らく、既に「男」のカラダからは、常人の20倍の生命力を吸い出した筈だ。
なのに何故、今もなお、ケロリとしているのだ!?
喘ぎながらも、辛うじてタナトスは顔をあげる。
だが、もう彼には如何なる攻撃手段も残されてはいない。
絶望・・・恐怖・・・、それらの感情がタナトスの心を染めていくと、
ついに「男」が「飽きたぞ・・・」とでも言うように、自ら行動を起こしたのである・・・。

タナトスはまたも目を疑う・・・。
「男」は、先ほど、タナトスがそうしたように、
自分の右手を前方に突き出す。
そして男の掌からは、いくつかの白いガスの塊が・・・!
 「な!? ま、まさかそれはぁ!?」
白いガスの塊は、たちまち動けないタナトスのカラダを包み込んだっ!
抜かれる・・・
吸い取られる・・・!
これまで溜めこんだ生命エネルギーが、
強制的にタナトスのカラダから吸い出され、
今度は「男」のカラダに吸収されてゆく!!
 「な・・・ば、ばかラ・・・?
 こ、こんなこロがあるはずが・・・、
 ち、違う・・・!
 貴様はポセイドンじゃない・・・!
 私しか使えない筈の力を・・・貴様が・・・き、さ、まが・・・ 」

みるみるうちにタナトスのカラダから、血の気が失せてゆき、
あれほど瑞々しかった肌が、今では老人のように・・・。
そして、
もはや、タナトスは反撃しようという気力すらも、粉々に打ち砕かれてしまったのだ・・・。