Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死の神タナトスと、解き放たれた「魔」29

 
散り散りになったメンバーが、無事にようやく戻ってこれたのは、
ミィナを含め一時間足らずといったところだ。
そして・・・、
もはや物言わぬ死体となった者達の発見にも、そんな時間はかからなかった・・・。
哀れな犠牲者たちを発見したのはグログロンガの隊だが、、
敵の警戒をしながら、死んだ者たちの回収を行うには時間を要した。

・・・そこには緒沢タケルの保護も含まれる・・・。
その場を発見したグログロンガにしても、
ここでいかなる戦闘が繰り広げられていたのか、全く理解できなかったに違いない。
生命力を抜き取られ、ミイラのような姿と変わり果てた仲間については、
サルペドンの説明で納得した(なんとか・・・だが)。
・・・となると、敵の首魁と思しきタナトスはどうやって、こんな有様になったのか?
干からびた姿の敵が、無残にも首が捻じれた状態で転がっている・・・。
傍で倒れていたタケルの怪力なら首を折ることも容易いだろうが、
いくらなんでも、ここまで徹底的にねじりまくるのは、タケルの性格からは考えられない。
・・・第一、何で艶々と血色のいいタケルが、気絶して倒れているのか?
額から血を流しているところと、近くに無数の岩が落ちていることから、
なんとなく、気絶した原因は想像できもしたが・・・、
とにかく心音も呼吸も、タケルは正常なようなので、その不思議な状態については後回しだ。
このでかい図体のタケルを運ぶほうが大変だし・・・。
なんにせよ、
スサ総代のタケルの命と、
最悪の敵を排除できたであろうことは、
スサにとってはギリギリで望みがつなぐ結果となった。

そして・・・、
勿論、天叢雲剣と、
引きちぎられた紋章はしっかりと回収も済んでいる・・・。
多少、その長さが短くもなったが、手先の器用なグログロンガが、元の状態に戻しておいた。
今はもう、静かな呼吸を保っているタケルの首元に戻されている・・・。
果たして、
彼に何があったのか、
それを的確に答えられるものは、
この地下世界「には」存在しないだろう・・・。