Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス33

 
ネレウスの最後の例えの意味・・・。
真っ先にサルペドンが気づいた。
 「まさか・・・! ネレウス殿!
 あの『嘆きの荒野』でタナトスの生命力を吸い尽くしたのは・・・!?」
気のせいだろうか、
ネレウスは笑ったようにも見える・・・。
 「確証は何もありませぬ・・・。
 ただの老人の妄想かもしれません。
 ですが、あの場にポセーダーオン様がいらっしゃったというのなら、
 辻褄はあうのではないですかな?
 オリオン神群の中に、異なる系統の力を同時に併せ持つ者などおりますまい?
 確かに100年以上前、この地を治めていたポセイドン様が帰ってこられたのなら、
 大地を震わすことも出来たでしょうが、
 あれだけのパワーなどお持ちではなかった筈ですし、
 何より、タナトス様の生命力を吸い取ることなど不可能なはず・・・。

 そして同時に、それがオリオン神群のルーツを示すことにもなりましょう。
 オリオン神群の一人一人、
 それらのルーツは、
 ポセーダーオンの内の、ただ一つの面を受け継いでるだけに過ぎないのです。
 ですが、敬うべき神を地上から失った人間たちは、
 ポセーダーオン様の存在を忘れ、
 その受け継いだ力のほんの一部を、遺伝子の中に保持したまま、
 やがて大きな間違いを犯してしまう・・・。
 大きな間違いとは何か?
 それは、自分たちを滅ぼしかけた天空の『奴ら』を、
 人間の『救世主』と認識してしまった事!
 いえ、それは勘違いなどでなく、意図的なものなのかもしれませぬ。
 『天空』の者たちは、人間の前に姿を見せないが故、人間は勝手な想像を膨らませる・・・。
 彼らが『慈悲』の心を有していたから、人間たちは生き延びる事ができた、
 罪深い者達のみ命を失い、新たな『神々』に忠誠を誓う者のみ、生きることを許された、
 ・・・そんな考えが、真の主を失った人間たちに広まってゆく。
 そして、いつの間にか『侵略者』は『神々』へと変貌したのです・・・!
 それが、
 ゼウスやその他の宗教に代表される、天空の神々の正体・・・。」