ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス39
タケル達が洞窟を出ると、
空の擬似太陽は輝きを最大に増していた・・・。
まぶしい・・・。
暗いところからいきなり出てきた為に、タケルの顔が歪む。
まぁ、戦うときまでには慣れるだろう。
ネストールの案内で、もと来た道を戻っていると、後ろからサルペドンが追いついてきた。
「タケル、待つんだ。」
「ん? どーしたい、サルペドン?」
「一度、説得は試みてみるが・・・。」
「ああ、頼むよ、オレだって気は乗らない。」
「だが、説得に失敗したときは・・・。」
「うん?」
「油断せず、情け容赦もせず、ヘファイストスを叩き潰せるか?」
いきなり話が見えなくなって、タケルは足を止めて振り返る。
「あ? どういうことだ?」
「鍛冶の神ヘファイストス・・・、
さっきのネストールやネレウスの話しぶりからしても、
人当たりの良さそうな印象を受ける。
だが、オリオン神群には変わりないんだ。
その能力は人間の常識の外にあること忘れるな?」
ようやくタケルは納得が行った。
「ああ、そういうことか、
どんな能力を持っているんだ?
鍛冶の神? 武器の扱いがうまい?
・・・ん~、何か違うか・・・。」
「私も見たことがあるわけではないしな、
村人に聞いてもいいが、中立を貫くと言い切っているのなら、無理に聞き出すこともないだろう。
ただ、どう考えてもお前の天叢雲剣の攻撃範囲のほうが広いはずだ。
トモロスと戦ったとき同様、奴に能力を使わせずに倒すがいい。」
勿論、サルペドンはヘファイストスの能力を知っている。
だが、タケルに語った戦法は、両者の能力を比べた上でタケルに分があると読んでいるのだ。
後はタケルに心の甘さが出なければ、勝負の結果は硬い。
それがサルペドンの予想である。