Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス45

 
このやり取りを固唾を呑んで見ていたタケルたち、
そして今や、彼らが視界に映るのは、
自陣へ戻ろうとするサルペドンと、
車椅子のような戦車を、落ち着かなくゴロゴロその場で動かし続けるヘファイストス
 「サルペドン、どうだ?
 あいつ、考え込んでるのか?」
仲間の元へ戻ったサルペドンはヘファイストスの方を振り返る。
 「私の意志は伝えてきた・・・。
 やはりヘファイストスも、自分なりにこれまで悩んできたのだろう、
 後は、彼の決断を待つだけだだ・・・。」

当のヘファイストスはまた弱気になってしまったようだ。
いや、彼もサルペドンの言うとおり、
問答無用に他人の命を奪うことに抵抗があるのだ。
 「なぁ? わしは戦わないほうがいいのか? 戦わなくて済むのだろうか?」
自分がこの村の支配者だという自覚があるのか、ないのか?
周りの神官、及び護衛たちにせわしなく質問攻めをするヘファイストス
だが周りの者とて、神に対し意見など不遜な真似は許されない。
ヘファイストス本人に決めてもらわないと・・・。

すると業を煮やしたのか、
ヘファイストスはタケルたちを案内していたネストールを呼び寄せる。
 「ネストール! ネストールよ!!」
主に呼ばれれば駆けつけねばならない。
ネストールはタケルたちに一礼すると、小走りにヘファイストスのものとへとやって来た。
 「はい、ヘファイストス様、何か?」
 「貴様はあの黒メガネの男の話を聞いたのか?
 貴様はあの男に、わしと戦わないほうが良いと言ったのか?」
 「は・・・、私のほうからは何も・・・。
 ただ、あの方々は、ヘファイストス様と戦いたくないようなことは言っておられましたな、確かに。」
 「貴様はどう思う、どう思うのだ、ネストール?」
実質的にこの村の運営を行ってきたネストールである。
ヘファイストスの彼への信頼は厚い。