Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス51

 
パイロキネシス・・・地上であるならこの単語が、ヘファイストスの能力名として相応しいだろう。
鍛冶の神であるが故に、炎の属性を備えた彼らの一族が発達させてきた能力だ。

 落ち着け・・・。
 勝てる道は・・・?
あの戦車に数多くの武器を積んでたとしても、無尽蔵に投げてこられるわけはない。
このまま距離を開けておけば、いつか雷撃を放つチャンスが・・・。

タケルの甘い希望はあっという間に打ち砕かれる。
ヘファイストスは小刻みに戦車を動かし、
タケルとの距離を確認すると、地面に突き刺さった槍を再び抜き出し、
そのままタケルに投げてくるのだ。
これでは弾切れ・・・いや、槍切れを待つなんてとんでもない!

せめて盾が・・・、
タケルに盾でもあったならば、もう少し有利にことが運べたのかも知れない。
盾でなくても、恐らく「ルドラの鎧」を装備してれば、
間違いなくタケルの勝利だ。
だが、今は丸裸同然・・・。
何とかヘファイストスの槍をかわそうとしても、
この男の間合いに近づくと、強力な炎がタケルの体を焦がそうとする。
一般的に、炎と雷撃では後者のほうが強そうなイメージがあるが、
この状況は甚だ不利だ。
確かにリーチはこちらの方が上だろうが、
間に金属の障害物があるとなると、全て電撃は遮られるのに、炎はそのまま通り抜ける。
タケルのほうも、現在大きなダメージこそ受けてはいないが、
この先・・・。

すると、傍で見ていたミィナがマリアさん達に一言・・・。
 「な、なぁ? あれって、タケルのほうも突き刺さった槍、投げつければいーんじゃない?」
傍で聞いてた酒田さんが、大声でタケルにその事を伝えると、
タケルも自らの愚かさを呆れつつ、
「その手があったか!」と手近な槍を引っこ抜こうと・・・

 「熱ぃぃっ!!」
ダメだ、これ! さっきヘファイトスの火炎浴びた槍だぁ!!