クラトスとビア 10
どうやら黒犬の名前はケルベロスではなかったようだ。
まぁ、それこそ今はどうでもいい。
ビアの鎖が、生き物のように空を切り裂くと、
その空気との摩擦音に、黒犬オルトロスは一々反応する。
唸り声とも哀願するような声とも判別付きづらいが、
今やタケルから与えられていた恐怖は無くなってしまったのか?
いや、これはタケルが一度、獣へのプレッシャーを解除しているためだろう。
既にタケルはオルトロスを敵として見ないつもりでいたからだ。
だが、眼前のオリオン神群は、
その獣をもう一度けしかけるつもりらしい。
「オルトロス!!」
今度はクラトスの怒声だ。
ビアの鎖と相まって、獣は服従するかのように大地に顎をこすりつける。
「オルトロス!
・・・貴様は何に怯えておる!?
真に貴様が怯える物は何だ!?
貴様が仕えるべき者はどこにいる?
・・・そして、貴様が牙を向ける相手はどこだ!!
さぁ、いい子だ、オルトロス・・・、
貴様はこの痛みを忘れてはいないだろう・・・!?」
既にタケルはオルトロスを敵として見ないつもりでいたからだ。
だが、眼前のオリオン神群は、
その獣をもう一度けしかけるつもりらしい。
「オルトロス!!」
今度はクラトスの怒声だ。
ビアの鎖と相まって、獣は服従するかのように大地に顎をこすりつける。
「オルトロス!
・・・貴様は何に怯えておる!?
真に貴様が怯える物は何だ!?
貴様が仕えるべき者はどこにいる?
・・・そして、貴様が牙を向ける相手はどこだ!!
さぁ、いい子だ、オルトロス・・・、
貴様はこの痛みを忘れてはいないだろう・・・!?」
そのクラトスの言葉の抑揚に合わせて、ビアは鎖の勢いを変化させる。
まるで、真の猛獣使いはこの二人だとでもいうように。
まるで、真の猛獣使いはこの二人だとでもいうように。