Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

クラトスとビア 11

 
 仕方ないな・・・。
できれば、手なづけられているだけの動物を攻撃したくはないが、
それこそあの牙で襲ってこられてはタケルもただでは済まない。
天叢雲剣で一気に・・・。
するとどうだろう?
オルトロスは後足で立ったかと思うと、
まるで踊り始めるかのようにせわしなく狼狽し始め、
ついには一際大きい悲鳴をあげたかと思ったら、
口から泡を吐いてその場に卒倒してしまったのである。
本当に哀れな・・・。

 良かった・・・これで「敵」だけを攻撃できる・・・。
とは言え、あの「ビア」とか言う女性はどうするか?
タケルはふっと後ろの仲間たちの中から、一人、敵を相手するのに相応しい人物を捜し求める・・・。

いた・・・!
まるで「あたしの獲物だ」と言わんばかりに得意そうに近寄ってきた。
 「ミィナ! あっちは任していいか!?」
ニヒッ!
 「はいよぉ~! 相手が人間ならあたしの出番だ!」
 「だが、まだオレの後ろにいろよ!?
 こいつらの能力がまだわからない、出方を待つんだ・・・!」

さて、その相手方の一人クラトスは、
敵を攻撃することもできずに痙攣しているオルトロスを、
まるで汚いものでも扱うかのように、そのぶっとい足で蹴り飛ばした。
 「なんだ? いざという時、役立たずだな? このウドの大木めが!
 おい! 明日にでも薬殺処分にしたらどうだ!?」
背後の調教師たちは恐れ入って反論もできない。
すぐさまクラトスの言葉に従い、オルトロスを枷に繋ぎ始めた。
見かねてタケルが大声をあげる。
 「おい! てめーら! その命令は無効だ!
 ・・・何しろ、こいつは明日には物言わぬ死体になってんだからなぁっ!」