Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

クラトスとビア 20

 
馬鹿なことを言うな!
平和な日本で生まれ育ったタケルに、人の命を奪う行為に平気でいられるわけがない。
これまでの相次ぐ戦いの連続に、そんな事を考えていたら、
命を落とすのはタケル自身だ。
自分と味方が生き延びることで精一杯だっただけなのだ。
そう、・・・それが正論、
とは言え、未熟なタケルの心の中で、そこまではっきりと割り切れるものではない。
努めて考えないようにしていただけなのだ。
 「ふ、ふざけるな!
 考えていたさ! そ、それよりお前らこそどうなんだ!
 お前らに何の資格があって・・・!」
 「戯けがっ!!」
今度は何だ!?
 「このクラトスは、直接人間の命を奪うことはせぬ!
 そして目的の人間を縛につけるにあたっても、自らの独断で行うことはせぬ。
 間違いや驕りを犯さない為にも、
 然るべき法の裁きの下に基づいて執行しているのだ。
 翻って貴様は何だ!?
 一時の怒りや感情に任せ、その剣を振るってきたのか?
 確かに貴様は身を守る為に戦ってきたのかもしれない、
 そんな事を考える暇もなかったのだろう、
 だが・・・お前とて眠りに就く時、
 その枕に殺された者達の断末魔の瞬間が、耳に甦らない筈はあるまい!?」
そ・・・それは・・・!
畳み掛けるクラトスの言葉に、指一本動かせないタケル。
見かねて後ろのサルペドンが助け舟を送る。
 「聞くな! タケル、それが奴の手だ!
 お前は戦闘に専念すればいい!
 敵の行動を一切封じるクラトスの術中にはまる事はない!!」
これこそがクラトスの能力だっていうのか!?
確かに他のオリオン神群に比べれば地味だが・・・、いや、今はそれよりも・・・!
タケルが雑念を取り払って行動に出ようとしたまさにその時、
クラトスの術が完成した・・・!
 「遅いッ! 平伏せ・・・愚民よっ!!」
 
そう、それがクラトスの能力、メズマライズ「麻痺」・・・!
 
 
イメージ 1

ヘファイストス・上クラトス・右ビア
そして・・・大地に抑え付けられている者は・・・