Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

クラトスとビア 23

 
 鶏ガラ女ぁ・・・!?
すぐさまビアの鎖がタケルの横っ面をはたく!
ミィナに食らわしている威力より強力だ。
タケルの頬は破れ、血が吹きだした。
 「こぉのクソガキぃ・・・!
 言葉に気をつけろってってんだよぉ!
 なんなら、お前の体中の骨を砕いていってあげてもいいんだよぉ!?」
何ということだ、
確かにビアもクラトスも、その能力には驚異的なものは確かにない。
だが、「反撃の手段を封じられる」という、ただそれだけの事が、どんなに恐ろしいことか。
タケルに新しい能力が目覚めようと、その精神力がどんなに強くなろうと、
その力のベクトルがマイナスに働いている今ではどうしようもない。
このまま嬲り殺しとなるのであろうか・・・。

いや、これまでと違うことが一つある・・・。
既に覚悟を決めた「彼」の行動によって、
それまでの空気は突如、破られた・・・。

 一つの銃声・・・っ!

タケルもミィナも、すぐに状況が掴めない。
だが、その視界の中に、苦痛によるものか、右肩を押さえ歪んだ表情を浮かべたクラトスがいた!
 「グッ!? こ、これは・・・ポセイドン・・・!?」
まだ首を振り返ることはできないが、
確かにタケルの背後から、鼻につく硝煙の匂いが・・・。
続いて、クラトスはタケルの背後にいる存在に向けて大声を張り上げた!
 「ど、どういうつもりです!?
 これでは約束が違う!
 ポセイドン様ともあろうものが、ご自分の言葉を翻すのか!?」

サルペドンはクラトスに向けた銃口を微動だにさせない。
その顔つきには一切の迷いも・・・ない!
 「ふーっ、この距離だと正確には当たらないか・・・。
 だが、クラトスよ、何か勘違いしていないか?
 私は『お前たちの主張はわかった』と言っただけだ。
 何も私が戦いに参加しないとは、一言だって言っていないが?」