ゼウス対ポセイドン ３

　
その時、後ろにマリアさんが控えていたようだ。
これはフォローだか、違うんだか判らないが、
マリアさんの言葉が場の空気を引き締める。
　「でも、二人とも・・・。
　一番に優先すべきことは・・・、
　私たちが生き延びることよ。
　これ以上・・・誰も欠けることなく・・・。
　戦力は・・・あくまでも向こうの方が大きいということを忘れないでね・・・。」

ミィナも判ってはいる。
でも素直に反応できない。
ただ・・・マリアのほうを向いて、軽く頷くのみ・・・。
今はそれで十分なのだろうか。

そして最大の懸案はサルペドンだ。
タケルにああは言ったが、実際の勝率は、
恐らく限りなく低い・・・。
かつて、デメテルの村で、アテナ経由でモイラの予言を聞かされている。
１００年前に手も足も出なかったゼウス・・・。
そしてこの戦いでほとんどのスサのメンバーが死に絶えるという不気味な予言・・・。
もちろんサルペドンに、切り札というか、戦いに勝てる根拠を有していないわけではない。
自分の作戦が通じるか通じないか・・・、
蓋を開けて見なければわからない。
そして、
最悪でも・・・タケルやミィナ・・・、
自分の命などどうでもいいが、彼らスサの仲間だけは生きて地上に送り返すことさえ出来れば・・・。
それが、
サルペドンの確固たる意志だった・・・。
もう、マリアには伝えてある・・・。
マリア自身も、そのサルペドンの決意に叛旗を翻したい気持ちはあったが・・・、
彼の気持ちを変えることなどできないのはよくわかっていた。
果たして、その時が来たら、自分はサルペドンの意志を実行することができるのだろうか？