ゼウス対ポセイドン 8
虹の神イリスは、髪を梳き上げながらサルペドンを注視する。
サルペドンこそがかつての同胞、ポセイドンと気づいたようだ。
「あなたが・・・大地の神ポセイドン様ですね・・・?
お会いできて光栄です。」
丁寧なイリスの挨拶にサルペドンも頭を下げる。
「これは失礼、
名乗るのを遅れたようだ。
改めて、自己紹介しよう、
かつてこのピュロスから逃げ出した愚かな者、ポセイドンだ。
・・・今はサルペドンと名乗っている。
どちらの名を呼んでくれても構わない。
それで、早速で申し訳ないんだが、我らの要求をゼウスに伝えたい。
元来、我らは地下の世界に干渉するつもりは一切ない。
かつて、私とゼウスに思想と立場の違いから諍いがあったが、
別に今更、他人を巻き込んでまで決着をつけたいとも思っていない。
お互い、犠牲を出しすぎた。
この辺りで、兵を引くことを考えてみてはどうだろうか?」
スサのメンバーも、ピュロスを守る兵士たちも、イリスの返答をただひたすら見つめる。
だが・・・、イリスの意志は・・・ゼウスの意志は最初から決まっていたのかもしれない。
「・・・フーッ、
そんなことだろうとは思っていましたよ。
ゼウス様のご意志は既に決定なされています。
その事をあなた方にはっきりさせる前に、
私の感想を述べさせていただいてもよろしいですか?」
一瞬の間が開く・・・。
サルペドンが返答する間もなく、
次にイリスの表情が険しくなった!
「何をぬけぬけと!?
・・・和平をお望みならば、何故アグレイア様や神殿の民を皆殺しにしたのですっ!!
あのような蛮行の直後で、よくもそんな恥知らずな態度を取れるものですねっ!?」