Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ゼウス対ポセイドン 10

  
 「結界だと!?
 ・・・そんなバカな!?
 モイライの透視能力を阻むほどの結界が敷かれていたというのか!?」
虹の神イリスは、もうこれ以上の問答は無益と判断したのか、
サルペドンの問いかけに、これ以上、反応しようとはせず、
やがて、傍に控えていた将兵アンピメデスに指示を送った。
 「これで話は終わりです。
 最初のゼウス様のお言葉通り、彼らをかの地に案内してください・・・。
 ああ・・・、そうそう、
 忘れてました、ポセイドン様、
 確認なのですが、
 ゼウス様はあなたと1対1の対決をお望みです。
 もちろん、あなた方全てが束になってかかってこようとも、問題はないと仰せですが、
 やはり100年前のけじめをつけるためには、
 少なくともあなた様と一度、ケリをつけるべきとお考えのようです。」
その事に関し、サルペドンに異存はない。
むしろありがたいぐらいだ。
 「結構だ、イリス。
 決闘の場には私一人で行く・・・。
 お互い、仲間を巻き込みたくはないだろう。
 戦いを避けられなかったのは残念だが、犠牲者をこれ以上、出さないことだけは守れるようだ。」
 「おめでたいのですね?
 あなたが倒れれば、必然的に後ろの方々は、命を失うのですよ?」
優雅な顔して恐ろしいことを平気で言う。
だが、それはタケルたちの立場からの物の見方なのだろう。
この地に住まう者にとっては、スサの一団は侵略者なのだ。
そして無抵抗の者たちまで殺されたと思い込んでいるのであれば、
仕方のない感情なのかもしれなかった・・・。

やがて虹の神イリスは、風のように立ち去った・・・。
兵を率いるアンピメデスは、
スサの一団を目的の場所にゆっくりと先導する。
車椅子のタケルに配慮してくれるのか、
なるべくなだらかな道を選んで、ゆっくりとスサたちの前を歩き始めた。