Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ゼウス対ポセイドン 11

 
それにしても・・・。
理解できない。
これからいよいよ、最大の戦いが始まるのに、
心の中のつかえが取れないのだ。
元からカオスと名乗った男が、タケルに敵意を以って襲い掛かったことには、
何ら疑問の余地はない。
だが、タケルの話によれば、カオスはタケルを殺す気はなく・・・。
いや、正確に彼の言葉を信じるならば、
タケルのみを生かしておけばいいような、言い回しだった。
後は、スサのメンバーはどうなってもいい。
その延長線上の考えから、アグレイア神殿の人々をも不要と考えたのか?
あの戦いの後、サルペドンやマリアは執拗にカオスのことをタケルから聞きだしていたのだが、
マリアさんは今一度、
車椅子に押されているタケルに不審点を聴きなおす。
 「タケルさん、何度もすみません・・・、
 あのカオスという名の青年は、
 結界能力をも有していたのですか?」
 「え・・・えっ?
 てゆーか、オレはその結界・・・ってのがどんなものかわからねーぜ?
 サイキック能力とやらがあれば誰にでも作れるのか?
 オレの方が聞きたいぐらいだ。」
それはそうだろう。
これについてはサルペドンも似たような反応を示す。
 「マリアのほうが詳しいのじゃないか?
 私の想像では、ある一定の技術というか、コツというか・・・、
 それさえ理解できれば私にも作れるような気もするが・・・。」
それぞれ移動しながらの会話のため、互いに視線を送るのは大体、一瞬のみになるが、
マリアは更に深く考え込んでいるため、男たちの顔を見る余裕すらない。
 「そうですね・・・、
 結界にも、強力な障壁を作って、他の意識や精神エネルギーを弾く動的結界と、
 その存在すら隠匿させる静的結界と二種類ありそうですが、
 恐らくアグレイア神殿に張り巡らされたのは後者の方かと・・・。
 そのカオスという人物は、それほど、能力の使い方に熟達した人だったのでしょうか?」