Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ゼウス対ポセイドン 14

 
すり鉢状の崖をサルペドンは滑るように下ってゆく・・・。
考えてみればサルペドンは高齢だ。
長命のオリオン神群といえど、地上の人間に換算したら、実年齢は50歳過ぎになるのだろうか?
元々、戦いは互いの精神力を使うものとは言え、
サルペドンのカラダにはかなりの負担がかかるはずだ。
いや、それはゼウスも同条件とは思うのだが・・・。

次第に、サルペドンのカラダが小さくなってゆく。
その間アンピメデスたちは、周りの地面に何本もの丸太を打ちつけて、
その後、太いロープで自分たちを繋ぎ始めた。
 「もしよろしければあなた方もどうですか?
 ポセイドン様の力に巻き込まれたら、立っていることもできなくなりますぞ?」
一応、アンピメデスは敵方となる。
だが、罠や策略をめぐらせているようにはとても見えない。
タケルは当然とも言うべき質問を投げた。
 「なぁ、アンピメデスさん、あんたの見立てでは、この勝負・・・。」
アンピメデスは落ち着いて首を振る。
 「ゼウス様が遅れを取ることは有り得ませんな・・・。
 あなた方には残念ですが・・・。」
 「だからアンピメデスさんらはそこまで落ち着いていられるのか?」
 「いかにも、その通りです。
 むしろ、我々は別の意味で心配をしています。
 あなた方は本当に、ポセイドン様の能力で、ゼウス様に勝ち目があるとでも思ってらっしゃるのか?」
 「パワーは互角とあいつは言っていたが・・・。」
 「ええ、それはその通りかもしれません。
 ですがお二人の能力は明確に上下関係を作り上げています。
 いえ・・・私の言葉などより・・・実際を見たほうが早いでしょう。
 おおお、御覧なさい、向こうの崖から・・・ゼウス様がやって来られるようですぞ!?」
どこに!?
タケルたちが一斉にサルペドンの反対側のほうを振り向くも、
向こう側には誰もいない。
・・・せいぜい二羽の鷲が向こうの空から・・・
えっ!?
こっちに向かってくるっ!?