Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ゼウスとポセイドン 15

 
それはあっという間にやってきたっ!
 ケーッ!!
二羽の鷲は、すり鉢状のくぼ地に沿って飛行していたかと思ったら、
そのまま急上昇し、タケルたちの頭上に鋭い爪を立てかねないような勢いで過ぎ去っていく。

いきなりだったので、誰も応戦する体勢すら取れなかった。
次に来たら天叢雲剣を浴びせてやろうか?
そう身構えていたが、もう二羽の鷲は襲ってこない・・・。
くぼ地に戻って、またもや上空を旋回していたかと思うと、
すぐにタケルたちとは反対側のほうへ戻って・・・

あ!?

人がいる!!
二羽の鷲が向かう先には、一人の巨大な男が立っている。
遠目にはなるが、対面するサルペドンと比べあまりにもでかい・・・!
サルペドンの身長は180を超えていたはず・・・。
ならばその人物は2メートルは・・・。
この距離と角度で正確な大きさはわからないが、
恐らくタケルと同じぐらいの体格を有している人物・・・。
いや、その肉のつき方はタケル以上だ。
頭部に月桂樹の冠を飾り、幾重にも編まれた豪奢なマント・・・、
純金で加工された鎖帷子のような物も着込んでいるのか?
その男が右腕を差し出し左肘をあげると、
それぞれに、先ほどの鷲がブワササササとけたたましい音を立てて着地した。
あいつが・・・
あの男が、オリオン神群最高権力者! 神々の王ゼウス!!

ついに、最後の戦いが始まる時がやってきた。
サルペドンはサングラスを取り、
懐かしくも因縁の相手に、そのたった一つの眼光を鋭く叩きつけている。
対するゼウスは、「何か用か?」とでも言いそうな程の上から目線で、
かつての同胞に涼やかな視線を返していたのである・・・。