地獄の扉が開く時 9
その黒十字団とか言う組織の名は、タケルには初耳だ。
だがサルペドンは勿論、壁際に控えているクリシュナや酒田には聞き覚えがあるようだ。
「おいおい? クリシュナさんよ、
確か黒十字団って・・・。」
「何かと黒い噂の絶えない組織だったと記憶しております・・・。
一番詳しいのはマリア様かと・・・。」
そして当のサルペドンはマリアに問い詰める。
「マリアよ、黒十字団は依頼を引き受けさえすれば、
どんな不可能と思われるようなミッションをもこなすと聞いているが・・・、
たかが傭兵組織がそんな軍事力や政治力を発揮できる物なのか?」
マリアは難しそうに首を振る。
「・・・いいえ、
確かに黒十字団は傭兵組織・・・、
ですがその党首には気味の悪い者達との繋がりも噂されています。
それは傭兵組織でありながら、カルト的な側面もあるのです。
未確認ではありますが・・・
あの壊滅したはずのノーフェイスの残党も紛れ込んでいるとか・・・。」
裏の世界に足を踏み入れたばかりのタケルには何がなんだかさっぱりだ。
もう周りの話を聞いているだけしか出来ない。
「マリアさん、話がさっぱり見えねーよ!?
とにかく今、地上はその黒十字団ってのが世界を侵略してるってことなんだよな!?」
そこでゼウスの残酷なる言葉が・・・。
「そうだ、小僧・・・、
そしてモイラが予言したことは、
その集団に・・・貴様らスサのほとんどの者が殺されるという事態なのだ。」
ムカァッ!!
理屈はいらない、
いや、後から考えてみれば、地上で騎士団とあれだけの戦いを生き延びて、
今更、他の軍隊に遅れを取るなど考えられなかった。
それをこうも、上から目線できっぱりと決め付けられて、タケルが憤慨するのは仕方ない。
「てめぇ、ふざけんなっ!
オレ等やサルペドン、それに騎士団の主力は残っている!
そう簡単に負けるはずねーだろうがよっ!!」