Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

地獄の扉が開く時 13

 
そこで、
これまで控えてきた最後のモイラ、次女のモイラが、
二人の姉妹の間に立ち、透視を始める。
 「それでは地上の皆様、
 今を見通すモイラが、現在の状況をお伝えします。
 ・・・さすがに地上全ての出来事を伝えることは出来ませんので、
 『彼ら』の中核について、私の『眼』が視たことをこのまま口述いたします・・・。
 ・・・
 ・・・・・・
 山が、高くそびえる山脈です・・・
 とても険しい・・・氷と雪に覆われ、空気の存在も薄い世界・・・、
 世界で最も頂の高い山々が存在する場所・・・世界の屋根?」
モイラは、自らの脳裏に浮かんだ光景をそのまま口に述べる。
それは直感的なものだったり、
他人に認識されているイメージそのものが流れ込んでくる事もある。
その区別は本人にもつきづらい。
だが、今の説明は地上の者であるならば、どこの地域の話なのか、
大体想像が付くだろう。
 「世界の屋根・・・ヒマラヤっ!?」
タケルの指摘を他所にモイラは透視を続ける。
 「ただ・・・その存在は天空に近い場所ではなく、
 むしろ・・・その麓・・・、
 いえ、大地の下? ここは・・・おかしい・・・、
 普通の場所じゃない・・・。
 結界・・・
 人為的な結界ではないようです・・・。
 そう、まるでその土地全てに何百年も前から自然発生的に存在しているような・・・、
 大丈夫です、
 この今を見通すモイラの能力なら潜りこめる結界です。
 これより、
 感知モードから遊離モードに移行します・・・。」