Ladyメリーの物語89・90
窓の下では、
千鳥足のサラリーマン二人組が、家の前を通りすぎていた。
・・・ただの酔っ払い・・・。
そんな事はどうでもいいので、窓を閉め、姉に大停電の事態を告げようとする直前、
彼らの声だけが恵子に聞こえてきた。
「ぶっちょう~ぉ、・・・もう、飲めません、フラフラですぅ・・・、
月がぁ、二つに見えるしぃィ・・・!」
「はははぁっ、まだまだだよ、きみぃ!
わ、私など月が四つに見えるぞぉぉぉ!!」
千鳥足のサラリーマン二人組が、家の前を通りすぎていた。
・・・ただの酔っ払い・・・。
そんな事はどうでもいいので、窓を閉め、姉に大停電の事態を告げようとする直前、
彼らの声だけが恵子に聞こえてきた。
「ぶっちょう~ぉ、・・・もう、飲めません、フラフラですぅ・・・、
月がぁ、二つに見えるしぃィ・・・!」
「はははぁっ、まだまだだよ、きみぃ!
わ、私など月が四つに見えるぞぉぉぉ!!」
既に恵子は、そんな大声など右から左へと聞き流していた。
だが、もし・・・、もう少し、
窓の外を覗いていたなら・・・、彼女は気づいたであろうか・・・。
街中から明かりが消えた為に、
辺りの物は、月明かりの影のみを、地面に映し出していたのだが、
ところが・・・その影は、あろうことか二本並んで伸びていたのだ・・・。
そしてその影のうち・・・、一本は、
静かに、そしてゆっくりと・・・動き続けていたのである。
だが、もし・・・、もう少し、
窓の外を覗いていたなら・・・、彼女は気づいたであろうか・・・。
街中から明かりが消えた為に、
辺りの物は、月明かりの影のみを、地面に映し出していたのだが、
ところが・・・その影は、あろうことか二本並んで伸びていたのだ・・・。
そしてその影のうち・・・、一本は、
静かに、そしてゆっくりと・・・動き続けていたのである。