Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー第一章 第九話

 ・・・もはや男の手にはナイフは無い・・・。
刃物が効かないと分ったからには、男は両の手で鎌を持つ手を抑えようとするのみだ。
 何故だ!? 
 何故マネキンが動いている? この感触の冷たさ・・・このか細い腕・・・
 何故折れない・・・!? 
白いコルセットで締められたウェストは、男の太ももより細いかもしれないのに・・・!
 「あ あ あ あ・・・!」
力の増加は既に止むことが無い・・・。
もはやその力は男の限界を超えようとしていた・・・。
 「・・・わ、悪かったぁ! 殺すつもりはなかったんじゃぁ! 頼むぅ! 許してくれぇッ!!」
文様のある鎌の刃は、既に男の咽喉の皮膚を切り裂き始めていた・・・。
男の首から鮮血が溢れ始める・・・。

 「わたしの名は メリー・・・
 わたしは鎌を振るう・・・ 汚れた命を絶つ・・・ために 」

マンションの下には、男の舎弟たちが集まっていた。
彼らが階下から階段を昇ろうとした時、
彼らの耳に、生理的な嫌悪をもよおす叫び声が聞こえた・・・。
彼らは大きな声を張り上げ、男の部屋の前にたどり着くが、
外されている換気扇・・・
鍵の閉まった扉・・・
チャイムを押すもの・・・
ドアを叩くもの・・・
携帯で必死に通話を試みるもの・・・もはや全てが無駄だった・・・。
彼らがドアを破壊し、部屋に入った時には、大量の血の海の中に・・・
頭部が切り離され、既に肉の塊となった男の死体が転がっているだけだった・・・。

・・・マンションの下では、ゆっくりとしたハイヒールの音が響いている。
「彼女」は小さく、はっきりした声でつぶやきながら歩いていた・・・。