Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー第二章 第十四話

・・・とは言ってみたものの、
高い塀に囲まれた大きな屋敷には、何者をも拒むような雰囲気が醸し出されていた。
入り口は閉じられており、脇に小さなインターホンがあるのみだった。
近くには何人かの報道関係者がいた。
顔見知りもいたので声をかけてみる。
 「や、寒い中、お疲れ様、誰かインタビュー、やってみた?」
 「ああ、伊藤さん、どーも。
 駄目だねぇ、お手伝いさんらしき人しかインターホンは出ないし、
 本人なんか一歩も表に出やしない。
 せめて、二階の窓から顔だけでも出してもらいたいんだけど・・・。」
釣られるように私は、塀の上にわずかに見える階上の部分に目をやった。
  えっ!?
 ・・・何か動いた・・・? モノトーンの細い物体・・・
 「な・・・? 今、何かいたよな!?」 私は興奮気味に確認を求めた。
 「えっ? 猫かなんかじゃないんですか?」
 「えっ、猫? いや・・・もっと大きくなかったか・・・?」
もう一度目を凝らして見たが、もう動くものは見えない・・・。
私は急に思い出した・・・神父から聞いた動く人形の物語を・・・。
 そして
麻衣の電話・・・お祖母ちゃんの 予言(?)めいた言葉を思い出した・・・。
 「お 人 形 さ ん に よ ろ し く ね 」
その言葉が何を意味するのか・・・背筋が寒くなった・・・。

たぶん・・・私はその時、周りの声や音が耳に入ってなかった。
恐らく 「おいおい、伊藤さん?」 とか言っていたのではないだろうか?
私は屋敷の正面入り口までゆっくりと歩き・・・、
そして力強くインターホンを鳴らした。
プルルルルル カチャ 『はい? どちら様でございましょう?』
私は何かに憑かれていたのかも知れない、
さっきまでなら思いも寄らない言葉が自分の口から出ていた。
 「隣村の○○神父の使いで来ました・・・。
 県議会議員のご主人様にお会いしたいのですが・・・。」
 『・・・一体、どのようなご用件で・・・?』
 「まずはそう、伝えていただけませんか?」