Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー第二章 第二十三話

・・・それからしばらくして警察がやってきた。
私は重要参考人として何日も取り調べられた。
私の推測では、
 県議会議員(命令)→秘書丸山(工作立案)→建設現場の三人(少女を自殺に見せかけて殺害)
という仮説があったのだが、今となってはもはや無意味だ。
「人形」の話はしたが、「人形」を見たとか、「人形」が殺しまわったとは言わなかった。
応接室で、ただただ震えていたと・・・廊下に出た時にはもう血の海だったと、言い続けた。
実際証拠はないし、凶器もない。
あんな大勢の警備を私が殺せるはずもない。
現場には、人形のものと思われる石膏の破片が落ちてたそうだが、捜査には使えないだろう。
また、現場で生き残ったガードマン達(彼らを殺す目的はメリーにはない?)や、
家政婦の証言(彼女は争いや人形も見ていないが)などから、最終的には私は解放された。
警察の中にもベテランの中に、「メリー」という人形に思い当たる者もいたようだ。
後で知ったが、教会の神父も私の解放に尽力してくれたらしい。お礼を言いに行かねば。
仕事先の編集長には、出版用の原稿と、本当のことを書いた報告用の原稿を両方、提出した。
編集長は思いっきり対応に苦慮したようで(そりゃそーだろう)、
結局、報告用の原稿はファイルの奥底にしまわれた。日の目を見る事はないと思う。
それでも、大量殺人現場に居合わせた事や、
警察に長期拘留された事をいろいろねぎらってくれた。しばらく休みも頂いた。
あ、私の話も、もう終わりになるが、あの大量殺人が起きた次の日、こんな事が起きたらしい。

 ・・・拘置所から一台の車が出て行った。
運転手は昨日殺された県議会議員のお抱えの弁護士、
後部座席には、監禁事件の加害者・森村剛志が乗っていた。
車は彼の両親の家に向かっていたが、高速で事故を起こし、車は中央分離帯に激突。
不幸中の幸いか、二人とも命に別状はないが、弁護士は左足切断、
青年のほうは、フロントグラスに頭から突っ込み、顔の半分を皮膚移植することになったという。
恐らく以前のような、甘いマスクには戻れないだろう・・・。
事故の目撃者によると、「事故を起こした車のボンネットの上に、
赤い手袋をはめた『何か』が、しがみついているのが見えた」そうだ。

では今一度、私の最後の話を続けさせてもらう。