Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー最終章 第七十四話

薄い灰緑色の瞳を見開いたまま、「赤い魔法使い」バァルの死骸がそこに横たわる・・・。
いつの間にか、白い蛇はその場から消え去っていた。
麻衣は、義純から伊藤に引き渡され、父親の体を抱きしめて放さない。
ライラック、ガラハッドは、他に襲ってくるものはないか、この場は安全か警戒を怠らない。
マーゴはその場にペタンとしゃがみこむ・・・。
 「終わったのねぇ~・・・。」
レッスルはバァルの死体を見下ろしたままだったが、
そっと、「人形」に目を向けた・・・。
 「おかげで、一つの区切りがついたよ・・・。」
「人形」はレッスルを見つめたまま何も話さない・・・。
瞳をギョロつかせることもない。
しばらくそうしていたが、「人形」はふっと伊藤親子に視線を投げかける。
伊藤がそれに気づいた・・・、
まだ正直、人形は恐かったが、いまや彼女に害意はないのは見て取れた。
彼はためらいつつも、「人形」に向かって礼を言う。
言葉が通じるかどうかはどうでもいい。
 「メリー・・・、ありがとう!!」
「人形」は答えない。
ところが、伊藤の腕の中にいた麻衣が・・・、
次の瞬間、後ろを振り返って急に泣きはじめたのだ・・・。
 「・・・うっ、うっ、・・・うわ~ぁん・・・」 伊藤は優しく頭を撫でる・・・。
 「麻衣・・・、もう大丈夫だ、恐くない・・・。大丈夫だよ・・・。」
だが、麻衣は頭を振って泣き続ける・・・。
 「うわぁぁん ・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいぃ・・・ヒッ、
 麻衣が・・・麻衣がぁ・・・ママの言う事聞かなかったからぁ・・・、ヒック、
 ママが・・・ママが・・・、うわぁぁあん・・・」
誰もが麻衣の言葉が理解できない・・・。
全ての者が、麻衣が泣くのは、恐怖から解放されて、緊張が解けたせいだと思っていたのだ。
レッスルだけが全てを理解して厳しい顔をしている・・・。
次の瞬間、静かだった「人形」が声を発した、
・・・そして伊藤は、・・・残酷な事実を知る・・・。
 「あなた・・・。」