Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー最終章 第七十五話

伊藤は自分の耳を疑った・・・。
馴染みのある声、いつも耳にする口調・・・。
・・・そんな馬鹿な・・・。
間違うはずがない、だが・・・、そんな事があるはずもない。
しかし、伊藤は反射的に咽喉から出る言葉を押さえる事はできなかった・・・。
 「ゆ り こ ・・・!?」
伊藤のカラダが震えだす。
「人形」は身じろぎ一つしない、・・・視線も伊藤に向けたままだ。
何か言いたいことがあるとき無言で見つめるクセ・・・、昔からの百合子のクセだ。
 「・・・嘘だ、そんな・・・百合子? どうして!?」
 「あなた、ごめんなさい・・・。」
彼女はゆっくりと伊藤たちに近づいた・・・。
鎌を後ろに、そっとカラダを寄せる。
 「・・・麻衣も・・・、泣かなくていいのよ、あなたは何も悪くない・・・。」
伊藤の手がかぶさっている麻衣の頭に、人形も片手を優しく乗せる・・・。
マーゴ達も徐々に何が起きてるか把握し始めた。
だが、あまりの残酷な現実に言葉を発する事もできない・・・。
レッスルが見かねて話し始めた。
 「・・・お嬢ちゃん・・・麻衣ちゃんの力は遺伝なんじゃ・・・。
 奥さんは全てを知っておったのじゃ、かつてお前さんがメリーに会った時も・・・、
 今度もそうじゃ、
 お前さんを一人でここに来させれば・・・、お前さんが死ぬと予知していたそうじゃ・・・。
 じゃが、麻衣ちゃんを連れてゆけば、麻衣ちゃんも命が危険に陥る事も気づいてしまった。
 奥さんが選んだ道は・・・、
 お前さんたち親子の命を救う事・・・それが全てだったのじゃ・・・。」
伊藤は力なくレッスルを振り返る・・・、
だが・・・何も喋れない・・・。
立ち上がったマーゴがようやく口をはさむ・・・、
普段の彼女では想像できないほど激昂している。
 「・・・どういうこと!? メリーのカラダに奥さんの魂を封じ込めたって事!?
 何でそんな恐ろしい事を!? 彼らを助けるには他に方法だって!?」
レッスルは首を振る。
 「・・・彼女は普通の人間じゃない・・・。 
 マーゴ、お前さん調べていたな、
 世界の平和を脅かすかもしれないと言っていた・・・闇の一族の事を・・・。」