Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー最終章 第七十七話

麻衣は、泣きながら人形のカラダの母親にしがみつく。
伊藤ももはや、何も考える事ができなくなっていた・・・。
目の前の人形は、かつて麻衣と姿をだぶらせた可哀想な女の子ではない・・・、
自分が生涯愛すると誓った最愛の女性・・・。
 「・・・百合子!」
伊藤は冷たいカラダの百合子を抱きしめた、力いっぱい・・・!
もはや涙を止める事すらできない。
 「ごめんよ・・・おれ、君が苦しんでたなんて、
 ・・・分らなくて・・・気づく事もできなくて・・・!」
 「・・・いいのよ、幸せだったわ・・・。」
そして百合子はそっと頭を起こし、愛する夫に顔を近づける。
夫は愛する妻に唇を重ねる・・・冷たく固い唇に・・・。
見ていたマーゴも両手で顔を覆って泣き始めた。
レッスルは振り返る・・・。
 「さて、お前さんたち、・・・これでも彼女達は危険と思うかね・・・?
 彼女だけが特別でない。
 世界の紛争地の人間同様、復讐を行動原理にした『リーリト』もおれば、
 大なり小なり感情が芽生えて、同様に思い苦しむ『リーリト』もおる。
 全く能力が発現せずに、普通に人間として暮らしておる者もたくさんおる。
 今後、どうやって彼女達と折り合っていくかは、全てお前さんたち次第じゃがの・・・。」
マーゴは泣きながら首を振る・・・・。
ライラックは思慮深く答える。
 「彼女達に・・・手を差し伸べるのも一つの道だと仰るのですね・・・?」
 「わしにはどちらを選べと言う事はできん・・・、
 バァルが言ってたじゃろう?
 お前たちを争わせるのも、ヴォーダンやわしのせいなのかもしれん。
 ・・・わしが望む望まないに関わらずにな。」
義純が尋ねる。
 「今や、あの人形のカラダには、三人の女性が宿っているのですか?」
 「・・・いや、バァルがかけた自分への安全装置は、人形のボディとエミリーの精神・・・。
 エミリーの魂が入ったままでは、恐らくバァルを殺す事はできなかったままじゃろう・・・。」
 「えっ、それではエミリーの魂は・・・?」