Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

顔のない人形 その13

 『・・・アンタねぇ? 後先、考えて行動できないの?』
タケルは警察にこっぴどく搾られた後、予想通り美香にも電話で責められた。
 『ふぅ、・・・今はそんなこと言ってる場合じゃないわね、
 で、今日子ちゃんは見つからないの?』
 「ああ、知り合い総動員で探してもらってっけど、まだ見つからねーんだよ・・・。」
 『そう・・・、せめて、昨日彼女がどこにいたのか分れば、まだ調べようがあるんだけど・・・。』
美香の言葉が止んだあと・・・タケルは消え入りそうな声で姉に訴えた。
 「なぁぁ、美香姉ぇ? 昨日の事件と、今日のっ・・・て関係あんのかなぁ・・・?」
 『・・・・・・』 美香はしばらく黙っていた・・・。
 「なぁ? 美香姉ぇ・・・!?」
 『タケル・・・! 今日子ちゃんを心配するのはわかるけど、
 そんな情けない声出さないで・・・!
 また泣き虫小僧の時代に戻るつもり!?』
 「だぁってよぉ!!」
 『やめなさい!
 ・・・それに今回はあなたが考えてるより、もっと恐ろしい事になるかもしれないのよ?
 そうなった時の覚悟はできてる?』
 「な・・・なんだよ、もっと恐ろしい事って・・・?」
 『もしものことよ・・・、今日子ちゃんのお母さんは誰に殺されたの?』
今度はタケルが答えに詰まった・・・。 誰って・・・。
 「そ、そんなんわかんねーよ! 昨日の誘拐犯か暴漢か・・・!」
 『家の鍵は掛かってたんでしょ?
 で、近所の人は叫び声を聞いた後、
 犯人らしき人を誰も見てないんでしょ?
 ・・・つまり、あっという間にお母さんは殺され、あっという間に犯人は鍵を閉めて出て行った。
 鍵の場所も把握している・・・。』
タケルは頭は賢くないが、姉の言いたい事は直感で感じ取っていた・・・。
 「・・・何が言いたいんだよ、美香姉ぇ・・・?」
 『私は最悪のことを覚悟しなさい、と言ってるのよ・・・、どんな残酷な事も・・・。』
 「やめてくれよ! 人を不安がらせるような事、言うなよ!」
 『タケル、違うわ、・・・そうじゃないのよ、
 どんなことが起きても、それにちゃんと向き合わないと、困難を解決する事はできないわ・・・。
 そうでしょう!?』
タケルは拳を握り締めた・・・。