Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

世界名作劇場

ギリシア神話のメリー 最終話

そして、今もなお、 哀れなメリーはその鎌を通して、夫の魂を集め続けています。 もはや長い年月は、彼女の本来の目的を忘れさせてしまっているのに・・・、 ただひたすらに・・・。 そして、時には、メリーの名を継ぐ者が現われ、 直接、魂を回収しているの…

ギリシア神話のメリー 14

そしてその内の一人が、叫びました。 「メ リ ー ! あ な た の 愛 す る 人 は 約 束 を 守 れ な か っ た !! 代 わ り に あ な た の 契 約 を 果 た さ な け れ ば な ら な い !!」 男が呆気に取られていると、メリーは涙を流しながら、 もう片…

ギリシア神話のメリー 13

あともう少しで、地上の光が見えるはずです。 でも、男はメリーが気になって他のことが考えられません。 焦りと動揺で、息を切らせながら、足早に地上を目指すのみです。 背後にいるはずのメリーは、ついていく・・・というより、 引きずられていくといった…

ギリシア神話のメリー 12

(何故、何も喋らないのだろう・・・? メリーはどうしてしまったんだろうか・・・?) 男はもう一度、歩きながら背後のメリーに語り掛けました。 「・・・メリー? 僕の質問に返事してくれ・・・!」 彼とメリーをつなぐ手に、一瞬の動揺を感じ取りました。…

ギリシア神話のメリー 11

「・・・本当ですか!? ありがとうございます!! 地上まで、メリーを振り返らなければ良いのですね!?」 地上までの道のりは、気の遠くなるような長さではありましたが、 既にここまで来た身です。 男には不可能とは思えませんでした。 二人は冥府の王に…

ギリシア神話のメリー 10

その「声」は、自分のすぐ背後から聞こえてきました。 間違うはずもない優しい・・・懐かしい声・・・。 「私の大好きなあなた・・・。」 振り返ると、愛するあのメリーが泣きながらそこに立っていたのです・・・。 「メ、メリー!!」 「あなた・・・私のた…

ギリシア神話のメリー 9

冥府の王はしばらく無言でしたが、やがて、その恐ろしい口を開きました・・・。 それは叶わぬ願いだ・・・、 死んだ者は 生き返らない・・・ 「そんな! 私はそれを信じてここまで死ぬ思いをして来たのです! それに・・・! あなたは・・・あのタイタン神族…

ギリシア神話のメリー 8

「あ・・・あぁ・・・!」 彼の口からは恐怖で言葉が出てきません。 本能的に上を見上げると、 冥府の王の顔があると思われる場所に、 黄金色(きんいろ)に輝く二つの瞳が彼を凝視しておりました。 ペタン・・・! あまりの重圧と恐怖で、彼は腰を抜かして…

ギリシア神話のメリー 7

一歩、・・・また一歩、彼はゆっくりと、辺りを観察しながら慎重に足を進めます。 広間は巨大な空間となっていて、果てが目で見えません。 ただ、真っ直ぐ進んだ先に・・・いえ、 この先に「何か」得体の知れない者がいる・・・、 それだけは分りました。 何…

ギリシア神話のメリー 6

「これ以上は私は進めない、 といってもおまえはこのまま、真っ直ぐ歩いていけばいい。 途中、行く手をさえぎる者がいるかもしれないが、 その笛を吹けば道を開けてくれるだろう・・・。」 男はサソリ人間に厚くお礼を述べました。 そして、彼は前を向いて足…

ギリシア神話のメリー 5

男はその後、不思議な体験をしました・・・。 サソリ人間に誘われるまま、後をついていくと、 大きな球形の建造物が現われたのです。 ・・・大きさは直径三メートルぐらいの楕円の球形・・・。 サソリ人間が何事か奇妙な動作を取ると、その球体が不思議な光…

ギリシア神話のメリー 4

サソリ人間・・・それは、大人しく立ちつくしているだけでしたが、 その姿は男が今まで見た事も聞いたこともない生き物の姿でした。 全身を昆虫のような甲冑で覆い、頭部にはガラス細工の上からフィルムを貼り付けたような、 黒い大きな眼が輝いています。 …

ギリシア神話のメリー 3

・・・その場所は、近くに住む部族ですら、恐ろしくて近づけない地域でした。 周りには、それなりに草や樹木が生えているのですが、 その土地には何もありません。 乾いた土や岩が露出しているだけです。 鳥や獣すらもそこへは近づかないのです。 地元の者は…

ギリシア神話のメリー 2

友人が方便で喋った言葉を、男は真剣に受け止めてしまいました。 友人達も、「まさか本気にはすまい」と思ってましたが男は本気です。 彼は、それまでに蓄えた全ての財産を売り払い、 冥府へ赴き妻を探し当てることを決意したのです。 もともと、彼は高貴な…

ギリシア神話のメリー 1

昔々、あるところに仲睦まじい若い夫婦がおりました。 夫の方はまだ若く二十歳になったばかり、 小さな牧場の羊飼いでしたが、彫刻のような美しい顔立ち、 そして何よりも、笛を吹かせたら、近隣のもので彼以上に美しい音色を出せるものはおりません。 また…

赤ずきんちゃん

なんとおばあさんは既に狼に食べられていたのです。 おばあさんに化けていた狼は、嬉しそうにメリーに襲い掛かりました。 ・・・ですが、狼の牙はメリーには届きません。 メリーが背負ってた金属物が狼の攻撃を遮っていたのです。 「な、なんだぁ・・・!?…

赤ずきんちゃん

メリーが家の扉を開けると、昼間だというのに中は真っ暗です。 なんで、窓を開けないんだろう? 「おばあさん? メリーです! どうして窓を開けないの?」 おばあさんがどこにいるかわかりません、 でも声の方角は、おばあさんがいつも寝ているベッドの方角…

赤ずきんちゃん

「もしもし? お嬢ちゃん、この先はおっかない森だよ? いったいどこに行く気だい?」 鉄砲をかついだ猟師は、小柄で可愛い女の子に尋ねました。 女の子は背中に荷物を背負って、手には小ぶりの筒をぶらさげています。 「わたしはメリーです。 これから森の…

メリーさん 魔王ver. 第六話

・・・看護婦は、見間違いでも、無論、嘘を言ってるわけでもない・・・。 翌日、つらい朝を父親が迎えたとき、 彼は自分の車のトランクや、リアウインドウに、 自分の子供のものよりも大きい・・・無数の手形があちこちにベタベタと残されていたのを見たのだ…

メリーさん 魔王ver. 第五話

両親の姿は見るに耐えないものだった・・・。 母親は、院内に響くような大声で泣き喚き、 父親は放心状態で、目の前の現実を受け入れることができずに、 目は虚ろのままだ。 当直の看護婦・・・ 比較的年配の婦長と、先ほど彼らを出迎えた若い看護婦が、 絶…

メリーさん 魔王ver. 第四話

その途端、子供の容態が急変した! 震えは痙攣のようにガクガクと体を揺すり始め、 口からは大量の白い泡を吐いてゆく。 もう、目はどこにも焦点をあわせていない。 母:「あなたーぁ!! つ! つとむが・・・つとむがぁーッ!!」 父:「もう、病院は目の前…

メリーさん 魔王ver. 第三話

ボコッ!! 父:「な!? なんだ! 今の音は!?」 母親も、音の聞こえた方を振り向いたが何も見えない・・・。 車のトランクの上辺りから音は聞こえていた、 まるで、車体の上に何かが乗っかってでもいるかのように・・・。 子供はもはや、高熱で真っ赤な顔…

メリーさん 魔王ver. 第二話

父:「つ、つとむ!?」 父は、まさかと思いつつも、バックミラーを何度も見るが、 制限速度をオーバーして走ってる車に追いつける者などあるわけがない。 後続は車もバイクも走っていない・・・。 父:「(幻覚でも見えてしまってるのか・・・、高熱のせい…

メリーさん 魔王ver. 第一話

父:「つとむ! すぐ病院へ連れて行ってやるからな!? 頑張れよ! ・・・まったく、なんでこんなに熱が出るまで放って置いたんだ・・・!?」 母:「だって・・・! あなた、夕飯の時はあんなに元気だったのよ・・・! それが・・・こんなに熱が・・・。」 …