Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

黒の巫女・・・カーリー 7

 
 もう、たばかれやしない、
 ガワンは完全に平常心に返っていた。
 「ハッハッハ、言うに事欠いて太陽の下で殺されるだと? このガワンをか!?
 そんなことは我が軍のランスロットライラックにも不可能だ!
 ここにいる狼男ですら、私を劣勢に追い込めなかったではないか!?」
マルコが即座に反応したが、上空の視線が気になったようだ、
彼は口を開かない。
 「ウフフ、信じろとは言いません。
 さて、そろそろお暇しましょう・・・、
 マルコ! 例の地点へ向かいなさい、ネロがヘリを飛ばしています。
 ここは私たちが抑えてますからその間に!」
最後までガワンを睨んでいたようだが、マルコはうなり声を上げながら林の中に姿をくらませた。
何名かの兵士が追おうとしたが、上空の機関銃を警戒していた李袞にたしなめられる。
そのままマルコの逃走時間が十分と判断したのか、
カーリーは別れの言葉を告げる。
 「・・・さて、長話に付き合っていただいて有難うございました。
 お別れの前にもう一度申し上げておきますわ?
 私たちは・・・黒十字団含めて、あなた方『騎士団』と戦うつもりはありません。
 どうか、本部の方々にも伝えておいて下さいませ。
 ・・・ルキ、お願いします。」
その時、ガワンが彼女を呼び止めた。
 「待て! 最後に一つだけ聞こう!
 先程、お前は我らが神を否定したな・・・?
 ならば・・・お前たちの信奉する者は・・・『悪魔』なのだな!?」
カーリーは既に、
この場にいる者達全てが、もはや自分達を攻撃する意図を持っていないと判断したのか、
機関銃の銃口をガワン達から外し、ルキともども、カラダの向きを変えていた・・・。
首を振り返って大地を見下ろす・・・。
 「『悪魔』・・・? 
 いいえ、とんでもない、
 ・・・私たちが信ずるものは、
 ノアの大洪水という人類全滅計画から人間を救った・・・この世界の本物の『神』よ。
 その為に、あなた達の神・・・天空の者達に永久の罰を与えられた・・・ね・・・。
 もう、・・・お話しすることはありませんわ・・・。
 御機嫌よう、お元気で・・・。」
それを最後に、ルキに抱えられたカーリーは、
そのまま見えなくなるほど遠くの空へと去っていった・・・。