Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 秘密工場へ42

 
別に日浦に文句を言ってもしょうがないのだが、
タケルは、この湧き上がる怒りをどうぶつけていいかわからない。
一方的に責められたカタチの日浦は、詰め寄るタケルを反論するかのように右手で払う。
 「問題はそれだけじゃない・・・!」
 「ああ!?」
 「肝心なのは、日本の医療はまさに、こういった奴らに支えられているってことなんだ!」
 「え・・・、そ、それって・・・。」
 「この企業はキミだってテレビの宣伝で知ってるんだろ?
 ここの薬を飲んだりしたことは?
 キミの近所で、大怪我したり大病を患ったり・・・、
 長い事入院して治療を受ける人たちの為に、この企業は貢献してきたって事さ!
 ・・・こいつらは軍事転用目的が第一だと思うが、
 大昔から医療なんてもんは人体実験の結果で進歩してきたんだよ!」
 「そんな・・・。」
 「人間なんて愚かなものさ・・・、
 キミだって気づいてるはずさ、気づかない振りをしてるだけなんだろ?
 自分たちが生きるために、大勢の動物の命を奪う、
 いや、生きるためならまだいい!
 自分達の為に殺された動物の事など、気にもせずに出された食事を食べ散らかし、
 大量の残飯を放出する・・・。
 世界じゃ、三日に一回、食事ができるかどうかもわからない子供もいるってのにな!
 それに医学の発達?
 目覚しいものがあったな、アフリカの奴隷達を片っ端から捕まえて実験を繰り返した。
 そのおかげで人間の寿命は大幅に進歩したよ、
 そうしてまたさらに、世界の森を消滅させ、動物の命を奪い、
 結局、こんな共食いみたいな歴史を繰り返すのさ!」
 「日浦さん・・・あんたは・・・。」
いつのまにか、タケルより日浦のほうが興奮していた・・・。
そしてそのことに日浦も気づいたのだろう、
息を整え、タケルに改めて話しかける。