Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 秘密工場へ49

 
 「タケル君!」
急かす日浦に、タケルは振り返り、急いで階段を駆け登る。
地下2階・・・そして地下1階!
下のフロアからは更なる爆発音が聞こえてくる、
地上まで、もう一息・・・!
全ての階段を昇りきり、
後はこの施設から脱出すれば!
そして、廊下に出て出口まで一直線、
・・・だがその時、タケルの眼前に巨大な腕が現われたのだ。
先ほどのレスラー外人だ!
 「おおおっ!?」
見れば顔半分が焼け爛れている・・・。
どこかで爆発の被害にあったのだろう、
その顔は先ほどの面影すらない。
激しい怒りのためか、先ほどとは比べ物にならない形相で、再びタケルに襲い掛かったのだ。

だが・・・!

 「・・・怒ってるのか?
 ・・・だろうな、あんだけ吹っ飛ばされて、この研究所もお陀仏だもんな。
 だがよ・・・、
 怒ってんのはオレも同じなんだよぉぉぉッ!!」

タケルの心中には、動物達の物言わぬ悲しげな瞳が刻まれていた・・・。
あの時点で生き残っていた動物達も、その内何匹かは階段を登ってきているかもしれない。
だが、五体満足なものなどいやしない。
それだけ無事なら、檻自体も破壊されてないからだ。
自分たちから遅れて昇ってくる動物は恐らく助からないだろう。
もちろん、動けない人間の赤ん坊達も・・・。
・・・今や、
タケルの怒りは臨界点を越えようとしていた・・・。