Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

緒沢タケル 秘密工場へ48

 
 ガガァン!!
・・・シャッターは床まで降りきらなかった・・・。
だが、タケルも日浦も目を疑った・・・。
 何故!?

床とシャッターの隙間に・・・、
このフロアーに閉じ込められてたライオンや猿が、
脇の廊下から駆け寄り、その身を差し入れていたのだ・・・。

幸か不幸か、爆発によって檻が壊れたのだろう、
そのカラダは火傷や痛々しいキズでボロボロだ・・・。
 「な、なんで・・・? こいつら!?」
タケルも日浦もさっぱり理由がわからない、
彼らが本能的に逃げ出そうとするのはわかる・・・。
だが、何故・・・まるで自分たちがやってくるのを待っていたみたいに・・・!?
ハッと我に返ったタケルは、シャッターをその馬鹿力でこじあけ、
傷だらけになった動物達を振り返る。
 「お、お前ら・・・?」
ライオンも猿も、もう動けない、
よく見ると、脇の廊下には、満身創痍の動物達が、息も絶え絶えに控えている。
途中で、力尽きた動物も横たわっている・・・。
彼らは・・・まるで
タケル達に仕えるかのように・・・。
タケル達を救うのが、まるで自分達の使命であるかのように・・・。
そして日浦は次の判断を下す・・・。
 「行こう・・・、彼らを助ける訳にはいかない・・・。
 可哀想だが、そんな余裕は僕らにはない・・・!」
勿論、日浦の言う事は正しい。
だが、タケルは悲しげな目つきで、自分達の為に動けなくなったライオンや猿に手を伸ばす・・・。
噛みつかれるとは考えもしなかった・・・。
・・・実際、ライオンは差し出されたタケルの手を、ペロリと舐めただけだった・・・。