Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

エリナと優一 4

 
 「はぁん、いーんじゃーん?
 この家はアンタの家だし、好きにすればぁ・・・。」
 「そうか・・・、それでだな・・・、
 問題はその子・・・うん、女の子なんだそうだ・・・。」
 「プッ・・・、何考えてんだよ、オヤジの知り合い?
 危機管理能力ゼロか・・・?」
 「優一・・・!
 こ、これには訳があるんだ!
 その子は中国でも奥地の・・・それこそロシアとの国境付近の未開地から来るんだ!
 当然、風俗とか習慣とか日本とは全く異なる!
 だが・・・私と母さんは、昔、その地方に入ったことがあるんだ・・・!」

それまで、ふざけ半分で聞いてた優一の態度に変化が現われる・・・。
 「オヤジと・・・オフクロの行った事がある所・・・?」
 「い、いや、実際その子の村は、私たちは入った事はない所だ、
 当時その地域に外国人が立ち入ることは禁止されていたから・・・。
 だけど、私たちがフィールドワークで訪れた村は、
 こんどやって来る女の子の村と、山一つ分ぐらいの距離しかない。」

優一は喋るのをやめた・・・。
外見上は興味もなさそうに雑誌を読んでいる・・・。
しかし・・・彼はこの話に何か思い至る点があるようだ・・・。
しばらく父親も、優一の口が開くのを待っていたが、
埒が開かないので話を進めた・・・。
 「それでな、まだこの話は決定ではないんだが・・・、
 もし、ウチで受け入れることになったらだな、
 ・・・わかるだろ?
 決してその子に不快な思いをさせないようにだな・・・。」
 「フッフッフフ・・・。」
話の途中で、優一は笑い出した。
親の立場は理解できるが、その親の心配事を想像したら、
本気で笑えると思ったのだ。