Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

暗殺者ザジル 4

 
 「ユェリン・・・このままでいい・・・!
 お前の持つ針がオレの体に向けられたままでいい・・・、
 一つだけ正直に答えてくれ!
 お前は・・・オレのこと・・・、
 おれと一緒でいられることが幸せだって言ったのは・・・」
ユェリンの髪が乱れる。
 「当たり前じゃないですか!!
 ユェリンはあなたと一緒ならそれで良かった!!
 他には何も要らない!
 お願い、ツナヒロ様!!
 私とここにいてください!!
 私があなたの元にいれるのは、あなたがこの国にいるうちだけなんです!
 ・・・あなたがここから逃げ出してしまったなら・・・ユェリンは・・・もう・・・」

二人の世界の外では、激しい戦いが繰り広げられていた。
野蛮な・・・しかし力強い二本の槍が、ザジルに向けて振り払われている、
だが、まるで白鳥をも思わせる優雅なザジルの身のこなしは、
ひと振りの攻撃ですらもかすることはない!
ツナヒロが気がつくと、二人の大男が大きな衝撃を立てて、
地面にほぼ同時に崩れ落ちた。
案の定、刃物一つ持っていないはずのザジルは、
返り血一つ浴びていないくせに、衛兵のカラダは血まみれだ・・・。
 いったい、どんな技を使っているんだ・・・。
たった今まで、殺し合いをしていたばかりだと言うのにもかかわらず、
ザジルはこれ以上の猶予を、ツナヒロには与えない。
 「賽は投げられた・・・。
 行くぞ、ツナヒロ、お前はそのまま彼女を抑えていろ。
 同じ施設で地獄を味わった者同士のよしみだ・・・。
 苦しまずにあの世へ送ってやる。」