Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ウィグル上空

 
マリアは話を続ける。
 「でも、その現れた天使が、ウィグルを繁栄に導くという意味では、
 近しい物語だと認識されています。
 それゆえ、ウィグルは当初からスサに協力的だったのです。」

ここまで聞いた上で、タケルに違和感は生じなかった。
無論、今はそんなことより、ダイアナの家族に会うことに心を奪われていたせいもあるのだが、
これまで誰も・・・、
マリアやサルペドンや・・・美香やタケルの父・祖父母までも、
スサにまつわる伝説の奥深くを精査できていたとは言えなかった・・・。
このウィグルの伝説がいったい何を意味しているのか・・・、
この時点では、まだ誰も知り得る立場になかったのである・・・。

ウィグルの周りは、
確かに崖や急勾配の山岳に囲まれ、
周りからの容易な接近を拒んでいると言えそうだ。
しかも、辺りは常に強風が吹き荒れ、
ヘリぐらいでは吹き飛ばされそうだ。
このガルーダでさえも、かなりの揺れを感じる。
それでも、一度山岳地帯を越えると、かなりの広さの平原が見え、
眼下にいくつもの民家や工場のような施設も飛び込んでくる。
・・・エアポートみたいな広場もあるぞ?
あそこにガルーダを着陸させるのだろう。

ガルーダの管制室には要所要所を写すモニターがある。
その内の幾つかには真下の村の景色が映し出されているのだが・・・、
タケルの目には、村のあちこちに、不自然なほどのカラフルな物体が映っていることに気づいた・・・。

インディアン、グログロンガが先に口を開いた。
 「・・・何か様子が変だ?」
その言葉に、管制室全員がモニターに釘づけになった。
 「あの色のついてるのはなんだ?」