Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死の神タナトスと、解き放たれた「魔」15

 
タケルの身長は2メートルに及ぶ。
タナトスも長身とはいえ、大体180センチくらいだろう。
如何にタケルの体力が0に等しくなっているとはいえ、そのカラダを支えるのは難儀するらしい。
タナトスは紋章のチェーン部分を引き絞り、まるで猛獣を封じ込めるかのように、
一切のタケルの行動を抑え込んだのだ。
 「ぐ・・・が・・・ 」
すぐにタケルの膝が折れた。
天叢雲剣は何とか握りしめているものの、必死に首のチェーンを緩めようともがく・・・。

だが、
ついにタケルの頭は、タナトスに見下される位置にまで崩れてしまった。
もう・・・万策など尽きている・・・。
力も・・・精神力も・・・思考能力も・・・。
そのタケルの顔からは生気がなくなり、
その頬も、まるで蝋人形のように土気色に変化してゆく。

そして死の神タナトスは死刑宣告を・・・。
 「フン、ここまで、だな、
 トモロスやシルヴァヌスの仇・・・。
 この嘆きの荒野で、醜く屍体を晒すがいい!」
荒々しく、タナトスは紋章の鎖を引きちぎる!
カラダの支えを失ったタケルは、崩れるように乾いた大地の床へ・・・。
そしてそれと同時に、タナトスのカラダから発した白いガスは、
完全にタケルのカラダを包み込んだ!
あっ、と言う間にそのガスが、タケルの全ての命を吸い尽すと、
やがて・・・ゆっくりそのガスはタナトスのカラダに戻り吸収される・・・。
生命力を失ったカラダからは、もう心臓の鼓動すらも聞こえる事はない。
スサの・・・美香の・・・全ての人間の希望であったタケルの命は、
今、この場で消えてしまったのだ・・・。

 ここまで

 やっとここまで来れたのに

 やっと追いつけたと思ったのに

 ごめん 姉ちゃん

 ごめんよ ・・・
 
 ご め    ん