Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

死の神タナトスと、解き放たれた「魔」35

 
まぁ、彼女に責任はない、
途端にゼウスは笑い始めた。
 「ハッハッハ、別にお前たちを責めるつもりはない、
 気にするな?
 ・・・それで私は考えたのだ。
 あの裏切り者、ポセイドンは何故、かつて敗れたこの地に戻ってきたのか?
 我らに勝てる算段を見つけて戻ってきたのか?
 ポセイドン一人で我らに敵う筈もない、
 ならば奴が見つけた仲間・・・、
 地上に残されていたポセイドンの遺伝子?
 本当にそんなものが存在するのか?
 存在したとして、太古のポセイドンの力を発現できるのか?
 そいつらの力を利用すれば、我らに勝てると考えたのか?
 ・・・とは言っても、そんな事を考えても確証は得られない。
 このモイラによれば、
 我々の同胞を倒したのは、ほとんどタケルとか言う若き青年に依るものだという。
 ならば、少し、その男のことを調べようと思い、この場を作ったのだ。」
ハデスはゆっくりと口を開く。
 「なるほど・・・
 しかし、そこで私を呼び寄せた理由は?」

そこからは「過去を知る」モイラが口を挟んだ・・・。
 「恐れながら・・・、
 私はその男・・・『緒沢タケル』という青年の過去を遡りました・・・。
 ポセイドンの血脈に関しては、全く手がかりが得られませんでしたが、
 恐ろしいほどの戦闘力と成長を繰り返して、このピュロスに来ています。
 冷静に見れば見るほど、
 地上の人間どころか、このピュロスにすら並ぶものはない事がわかるでしょう。
 では、『彼』は何者なのか・・・、
 それを判断できるものはいないのか・・・、
 いえ、たった一人だけ・・・
 彼の身近に・・・それを知り得る者がおりました。
 そして、その者から情報を引き出せる者が・・・。」
聡明なるハデスは、その言葉で全てを理解した。
 「・・・そうか、その人物を呼ぶ為に・・・私の能力が必要というわけだな・・・?」