Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス54

 
タケルのパワーと反射神経なら、
ヘファイストスの槍を押さえつけることも可能だろう、
その気になれば素手で槍の柄を掴んで、
ヘファイストスの攻撃を封じ込めることも難しくない筈だ。
だが、カラダを止めた瞬間、
ヘファイストスの炎の餌食となる。
仮に、ヘファイストスの炎熱能力の前に天叢雲剣を発動することができたとしても、
そんな近接状態なら、自らも感電という大ダメージを受ける。
逆にヘファイストスが、その能力で自らの体を焼くことはないだろう。
やはりタケルが不利だ。
未だ、致命的な攻撃こそ食らわないが、
タケルの体力はどんどん削られていく。
それと同時に、火傷や裂傷も悪化する一方だ。
 「ふわぁっはっははぁー!
 やはり、貴様らがゼウス様に敵うわけがない、ないーっ!
 大人しく降参するんだなぁ!?」

サルペドンも、ここに来て最後の手段を考える・・・。
この場で自らの能力を発動し、
鳴動する大地でヘファイストスの戦車を止めることは・・・可能だ。
能力をコントロールすれば、
村人たちに被害を与えない程度に、戦っている両者の動きを止めることができるだろう。
だが、その時、
ヘファイストスもポセイドンがこの場にいることに気づいてしまうはずだ。
その場合、デメテルやネレウスのように、
スサの仲間たちの前で、ポセイドンの正体を隠してくれるなんて、
そんな義理も気遣いもヘファイストスにはない。
とはいえ、タケルの命には代えられない・・・。
ならば・・・。

その時、タイミングがいいのか悪いのか、
この場で完全に冷静な態度を保ち続けているネレウスが口を開いた・・・。