Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

湖の騎士ランスロット 12

 
 「第一陣発進ッ!!」
カモフラージュされている山の中腹の崖あとから、岩肌が割れてゆき、
数十機のエアバイク・マルトが発進してゆく。
先頭は勿論、黒い「ルドラの鎧」に身を包んだタケル!
鎧の下の首元には、美香の形見の「紋章」と、
そして左の腰には神剣・天叢雲剣を携えている。

制空権を取る戦いに、剣など何の役にも立たないはずだが、
マリアの勧めもあって、日浦戦の当初からこの装備のままだ。
確かに敵陣深く潜り込む・・・または追い込まれてスサ施設内で戦う場合なら、
マルトを離れて後、剣での戦いも重要だろう。

だがマルトを操縦している時にはさすがに・・・
と言いたいところだが、実際、意外と役に立つ。
敵エアバイクとかち合う場合、
時として相手と並行しながら争う場合がある。
その時、備え付けられたレーザーは役に立たない。
かなり危険な立ち合いにはなるが、
相手と並んだ時には、その剣を持って操縦者本人に切りつけることもできるのだ。
自分か相手か、致命傷を与えずとも、バランスを崩した方が地面に激突する。
条件は敵も同じだが、タケルの鎧には剣で傷つけることはできない。
タケルには少々小突かれた程度にしか感じないのである。

一方、グログロンガや他の部隊は拳銃を装備している。
近接することになれば、片手で操縦かんを握り、残る片手で攻撃する。
他にも独特の武器を持つ者もいるが、大体はこのパターンである。

それとこれも付け加えよう。
彼らのエアバイクに付けられた「マルト」という名は、
インド神話に出てくるマルト神群を由来にしている。
それは暴風雨を起こす荒れ狂う神々の集団で、別名ルドラ神群と呼ばれている。
そしてその名が示すように、タケルの「ルドラの鎧」にちなんでつけられている。
元々「ルドラ」という名も、サンスクリット語が属するインド・ヨーロッパ語族に分類され、
rude・・・すなわち「荒々しい」という英単語にも近い意味を持つ。
似たような単語にwildがあるが、
こちらも、皆さんは覚えてらっしゃるだろうか・・・。

中欧神話のヴォーダンと名前が繋がっていることに・・・。