ヤズス会マグナルナ派
あまりに信じがたい言葉が親友の口から放たれた。
辺りは既に薄暗く、ピエリの視界には、二人の友人の突っ立ってる姿しか映らない。
耳に入る音も、もはや周りの喧騒としてしか認知できなくなっていた。
そしてピエリはようやく、
デボアの言葉の意味を飲みこんだ・・・
いや、飲みこんだはいいが、それを受け入れることなどできはしない。
「な・・・何ほざいてるんだ!!
そんな噂がって・・・お前らガキの頃から妹を知ってるだろ!!
一緒に遊んだことだってある筈だ!!
そんな噂がデタラメだって事ぐらいわかんねーのかよッ!?」
勿論、ピエリはそんな噂なんか根も葉もない濡れ衣と分かっている。
だが、何より信じられなかったのは、
友人たちがその程度の事で、自分たちを避けてしまったという事実だ。
だがこの神聖ウィグル王国で、
魔女と宣告を受けることは、この社会から抹殺される事を意味していた。
・・・時には本当に処刑されることすら・・・。
それほど、ヤズス会マグナルナ派が浸透するこの王都ラシでは、
魔女や魔術の儀式に対する迷信と偏見が強かったのである。
・・・開祖、月の天使シリスを崇拝するあまり暴走してしまった教義・・・。