Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

悪夢の終焉 1

 
悪夢が終わった・・・。
いや、現実に変化はない。
フラアが家族を失ったという現実・・・。
だが、「国家」は・・・この神聖ウィグル王国という「生き物」は、
止まる事を許しはしないのだ・・・。
それが良いことか悪いことなのかは、全く関係ないことなのだけれども。

翌日ただちに議会が招集され、
フラア・ネフティスの地位の確認、
法王庁の処分などが討議された。
元々、法王庁に関しては議会が干渉できる権限はないのだが、
喚問という形で、
王統府の議会に数人のマグナルナ派の重鎮を呼び寄せた。
その日の会議だけで何が決まると言うわけでもないのだが、
法王庁に属する彼ら自らの口で、
自分達の組織の在り方を見直すという言質が取られたようである。

・・・そこには勿論、シリスに仕えたツォンが、
魔女裁判」なるものに否定的な発言をしたことが大きかった。
恐らく、今後しばらくは同様の裁判は起きないのだろう。

肝心のフラアの方であるが、
勿論、一日二日で心の傷が洗われる筈もなくなく、
そこは宮廷関係者も慎重に気遣いをし、
その日の内々の夕食会に彼女を参列させるので精一杯であった。
当然、フラアはそれすら拒んでいたのだが、
「ご両親に、王族として着飾った自分を見せて安心して旅立たせてあげては?」
という懸命の説得に少し、心を動かされたのも事実である。
そして、宮廷に長年仕える女官達も伊達ではない。
沈むフラアの気持ちを、少しでも宮廷になじませるために、
効果的な策をもってフラアに臨んだのだ。