Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

目撃者

 
一度火がついた欲求は抑えようもない。
ピエリの内心には、
「こんな事をしてはいけない!」という正常な部分も残していたが、
無理やり理由を見つけて、自分自身を正当化していたのである。
彼が湧きあがらせてしまった激しい感情は、
その対象者を征服したいという、暴走した妄念に変化し、
あっという間に、性衝動の境を越えてしまったのだ!

ブチブチとピエリの指はフラアの胸元を引き裂き、
力づくでスカートをまくしあげる。

フラアは必死で抵抗するが、
この状況では逃げることも兄を突き飛ばすことも、もはや不可能だ。
時折轟く雷鳴が、
二人の揉み合う姿をおぞましくも映し出す・・・。
フラアの精一杯の助けを求める声も、
土砂降りとなった雨の音に遮られて、母屋まで届くこともない。
そしてついにピエリは、禁断の一線を越えてしまう・・・

ギシギシ、ベッドを揺らす音が、拷問のようにフラアの耳に強制的に流し込まれる。
兄の腕に爪を立て、せめてもの抵抗を示すが、
ここまで来て、そんなもので怯むピエリではない。
彼は妹の背中をガッチリと抱きしめ、
フラアの耳元に自らの頬をこすりつけ、歓喜の雄たけびを繰り返した。
もはや力尽きたフラアは、暴力の化身と化したピエリにされるがまま・・・。
 もう、どうでもいい・・・
 私のカラダの中に、お兄ちゃんが入りたがってる・・・
激しい痛みと、別人のような形相のピエリのおぞましさ・・・
それだけを我慢さえすれば・・・すぐにこの悪夢を終わらせてくれるのだろうか?

・・・だが、
この二人の禁忌の行いを、
窓の外からこっそりと覗き見ていた者がいた・・・。
いつか、コーデリアとフラアが口論していた時・・・
あのアイザス国王のパレードで居合わせた老婆が・・・、
様子のおかしいピエリの帰宅を目撃してしまい、
この稲光と轟音に紛れて、
閂の外れていた窓から、全てを食い入るように見つめていたのである・・・。
 「・・・おお、恐ろしい・・・天使シリス様・・・。
 あなた様の創り上げたこの王国で、このような忌まわしい行状が・・・、
 ああ、恐ろしい、恐ろしいぃ・・・!」